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国際原油価格下落の意味するもの!

10月9日国際通貨基金のラガルド専務理事は、ユーロ圏の経済停滞や日本経済の伸び悩みなどによって世界経済は期待を下回る不十分な成長にとどまっている、と懸念を示し、金融財政政策で新たな成長のきっかけを作りだす必要がある、との考えを強調した。しかし主要20カ国の財務省・中央銀行総裁会議では何も決められなかった。

こうした世界経済の先行き懸念が反映して欧州の株価が続落し、続いてアメリカと日本の株価が大幅に下落した。明らかに世界経済の先行き不安が世界の株価を下落させている。これを受けてアメリカ連邦準備理事会(FRB)のフィッシャー副議長ら高官は、世界経済が大幅に減速すれば利上げ開始が遅れる可能性がある、との見解を明らかにし各国に財政政策やインフラ投資による雇用促進を促した。

14日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場は、指標となる米国産標準油種の11月渡しが81,84ドルで取引を終えた。これは2年4か月ぶりの安値である。また実際の需給関係をより反映する国際指標、北海ブレントも約4年ぶりに1バーレル=85ドルを割り込んだ。国際原油価格の下落が始まったと見てよい。

アメリカのシェールガス・シェールオイルは開発コストが高く、国際原油価格が100ドルの高値でないとペイしないと言われている。オバマが「イスラム国」空爆に踏み切ったのも原油価格を高止まりにすることも狙いの一つだった。エネルギーの自給に支えられたアメリカの景気の回復であったのだが、オバマの仕掛けたウクライナのクーデターが、ロシアのクリミア半島併合を呼び、対ロシア経済制裁が国際経済を冷え込ませるきっかけになったのは皮肉という他ない。

国際原油価格の大幅下落は、先進各国の景気減速による需要見とうしの減少が反映したものだが、中東産油国は今のところ原油供給量を減らしていない。アメリカのシェールオイルの増産もあって供給過剰が続く可能性がある。つまり原油価格は引き続き下落基調となる可能性が強いのである。

これは11月の中間選挙を控えたオバマには打撃であり、アメリカの景気も再び低迷する可能性が強いのである。オバマは原油供給を増やしたくないので、イランへの制裁解除を行えない可能性が出てきた。とするとオバマは「イスラム国」を利用した中東混乱の拡大か、もしくは中東産油国に減産を働きかけるしかない。

重要な事はアメリカのシェールガス・シェールオイルは開発コストが高いだけでなく短期間で油井が枯れることである。絶えず新しい油井の開発が必要なのである。その為には国際原油市場の高値が続く必要がある。この前提条件が崩れたということは、アメリカ経済の先行きも再び暗くなったということだ。

世界資本主義の危機は「強欲の資本主義」による格差社会と個人消費の縮小に原因があるので、財政出動や資金供給では解決できないのである。オバマの経済運営能力の無さが中間選挙前に明らかになったのは共和党には追い風になるかもしれない。
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