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対立深めるアメリカ社会の分裂の背景!

アメリカのミズリー州ファガ―ソンでの白人警官による丸腰の黒人青年の射殺事件を巡る抗議デモが全国に広がり、デモ隊と警官隊の衝突で逮捕者が続出している。

アメリカ社会は旧ソ連崩壊後の経済のグローバル化で野蛮な搾取化が進み、格差社会が一層深刻化している。現象的には白人と黒人の人種対立に見えるが、本質は階級対立である。貧困層が黒人であることから人種差別の側面が際立つことになる。

資本主義社会での労働の価値は教育の水準が、能力の従って所得の基準となる。貧困層の黒人は大学に進学できず、したがって収入は低い。ファガ―ソンの住民は1980年には85%が白人だったが、2010年には約7割が黒人となった。しかし市長や警察本部長や市議、警官も多くが白人である。だから階級対立は人種対立の形をとることになりやすいのである。

アメリカの大都市では近年中心部に富裕層が住み、低所得層が押し出されて郊外に固まるため「貧困の郊外化」と呼ばれる現象が起きている。言わば貧富の格差による住み分けが進んだのである。ファガ―ソンでの貧困層のデモが過激化した背景には、反テロ戦争でアメリカ国内がテロの標的になったためアメリカ軍の装備が警察に提供される制度が法制化され、警察の重装備化・軍隊化が進んだのである。

この制度で自動小銃や装甲車・暗視装置等で警官が重装備となった。警官の軍隊化に人種差別が加わって丸腰の黒人が白人警官に射殺される事件が目立つようになった。アメリカ社会は民主的で市民が銃を持てる。その分階級対立や人種対立は大衆行動として過激化する傾向がある。

アメリカ社会の支配層は経済危機の中で黒人暴動をいかに抑制するか?という視点から黒人のオバマを大統領に選んだ。そのおかげで経済恐慌の中でも比較的アメリカ社会は平穏だったのはオバマ大統領のおかげである。そのかわりアメリカ外交が無残な状態になり、アメリカの世界での威信は崩れることになった。

経済のグローバル化の中での自由化・規制緩和・民営化の政策が強欲の資本主義と呼ばれるほどの野蛮な搾取となり、格差社会は一層拡大・固定化した。こうしてアメリカ社会における階級対立は、人種対立の側面を際立てさせて、アメリカ社会の対立を深刻化させている。自由競争の放任は富める者はますます富み、貧しきものはますます貧困化するのである。

アメリカ社会は政治的には共和党内に茶会など右翼勢力が拡大し、対立が激化し、議会による2大政党の利害調整も機能しなくなった。アメリカ社会の分裂は覇権国アメリカの衰退の象徴と言えるのである。
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