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米の「新大国関係」拒否で揺らぐ習近平政権!

中国海軍の西太平洋を管轄海域とする提案に当初曖昧な姿勢を見せていたアメリカのオバマ政権が、今年4月重大な戦略的転換を行った。中国軍強硬派が描いた戦略は、東シナ海に防空識別圏を作り、東シナ海と南シナ海を中国の内海化し、沖縄以南の日本の諸島を力で奪い取り、西太平洋とインド洋を中国軍の管轄海域として、アメリカと世界の覇権を分割支配する事であった。習近平はこの「中国の夢」を掲げて巨大な力を持つ軍強硬派の支持を集めたのである。

ところが今年4月、台湾の学生達が中国の台湾併合の危機に不安を高め、決起した占拠事件が起きた。アメリカはメデイロス国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長が「台湾関係法の約束を守る」と台湾防衛の意思を明言。米上院も台湾へのフリゲート艦4隻の供与を決議した。

4月オバマは日本を訪問し、尖閣諸島が日米安保条約の適用範囲であることを明言した。これらはアメリカが中国軍を第一列島線に封じ込める意思表示である。オバマは当初中国政府に「日中間の領土問題にはどちらか一方を支持する事は無い」と約束していたのである。オバマの態度は中国側から見れば裏切りに等しい。中国軍内の強硬派の怒りは強く、オバマにだまされた習近平の弱腰にも反発が集まった。

自己の支持基盤が揺らいだ習近平は汚職摘発運動=「トラ退治ハエ叩き」が軍幹部にも及ぶかの振りをしつつ、4月に大軍区司令官クラスの将軍18人に「忠誠表明」を書かせ、解放軍報に掲載した。その後17人の副司令官クラスの将軍に「忠誠表明」を求めた。(=「選択」5月号記事)このような「忠誠表明」が絵に描いた餅である事は豊臣秀吉の例でも明らかだ。

つまり習近平国家主席の「忠誠表明」は求心力の無さの表明であり、政権の弱体化を証明するものなのである。今後「トラ退治ハエ叩き」も小物で終わる可能性が強い。習近平政権がアメリカに弱腰を見せたことで、軍強硬派が習近平に忠誠をいつまで続けるかが今後の焦点である。

習近平が日本の商船の差し押さえを強行したのは、背景にこうした求心力の無さがあった。アメリカには弱腰でも、日本には強い態度をとることで軍強硬派のガス抜きを図ったと見るべきである。新疆ウイグルでの民族解放闘争の激化と、今後起きる金融危機の中で、人民の反腐敗の闘争に直面した時、習近平は軍強硬派に引きずられて外に(=日本に)戦端を開く可能性が高まったと見るべきであろう。
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