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パナマ運河拡張工事の与える戦略的影響!

パナマ運河は1999年にパナマ共和国にアメリカから返還された。しかし現行の通行容量は約3億トンの限界を迎えている。2007年から総額52.5億ドルの予算で拡張工事が行われている。この工事は予算超過の負担を巡り運河庁と企業連合(スペイン・イタリア・ベルギーの建設会社)が対立し、一時工事が中断した。

拡張工事は約7割終了し年内開通を目指し工事が再開している。この工事には日本の国際協力銀行やメガバンクが融資しており、日本政府も追加融資を決めている。運河は大国の軍事戦略と密接に絡んでいる。戦前パナマ運河の航行を前提としてアメリカの戦艦は最大幅の制約(32.9メーター)から40センチ砲しか搭載出来なかった。このため旧日本海軍が「大和」「武蔵」に46センチ砲を搭載した話は有名である。

パナマ運河の拡張が完成すると全長366メートル、幅49メートル、満載喫水15メートル、で17万トン型タンカーの航行が可能となる。水路の掘削が条件だが米軍の大型艦船が受ける利益は大きい。しかし幅が70メーター以上ある大型空母は通過できそうもない。この拡張工事でパナマ運河は現在の2倍の通航量の約6億トンとなる。

日本がアメリカのシェールガスを輸入しようとすると、現在の液化石油ガス運搬船は大型なのでパナマ運河を通れず、スエズ経由の長い航路となるが、拡張されると安いシェールガスが早く輸入できるようになる。また新運河用の大型船舶の需要が拡大するのは確実であり、造船業界は潤うであろう。

パナマ運河の拡張が戦略的に大きいのは、中国が計画しているニカラグア運河の建設計画を、計画倒れにする可能性が強いことである。香港系企業が計画しているニカラグア湖を通る運河は全長290キロ(パナマ運河の3倍)、総事業費400億ドル(約3兆9千億円)だが、パナマ運河の拡張で建設の経済的意義が無くなったと見られる。

マナマ運河の拡張が及ぼす経済的意義は輸送経費が船舶の大型化で安くなることである。特にシェールガスだけでなく、ベネズエラの原油輸入がアジア諸国に増える可能性がある。つまり世界の貿易関係を激変させる可能性がある。

地球温暖化で北極海航路が実現する事と合わせて、世界的な地政学的変化が起きるであろう。ウクライナをめぐる欧米とロシアの対立という軍事的変化と合わさって世界の戦略関係が変わりつつあることを政治家は考慮して国の戦略を立てるべきであろう。
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