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内的矛盾を外的矛盾に転化する基本方向を決定した中国全人代!

走資派指導部の指導する今の中国は、毛沢東の文革時の集団化・全人民所有制の制約から逃れられない。農民からの土地の使用権を取り上げて、幹部の身内に払い下げ、再開発で利潤を上げることは、国家財産の横領に等しい。従って大衆の批判は党官僚幹部への腐敗批判として現れている。

地方政府の数ある産業基地開発計画は、農村部では土地の集団所有が災いして資本主義が発展せず、いずれも「新鬼城」と呼ばれるゴーストタウンとなっている。これらの投資資金は人民に高利の理財商品を販売してかき集めた「シャドーバンキング」を通じて調達しているが、償還はもともと不可能なのである。その不良債権額は500兆円以上と言われている。

このほか賃金の上昇による競争力の減退、経済成長の減速、雲南省での無差別殺傷事件等過激化する少数民族問題、拡大する大気汚染、など習近平走資派指導部の内憂は増えるばかりなのである。そこで打ち出されたのが「富国強軍」「海洋強国」路線である。

2014年の国防予算は8082億3千万元(約13兆4460億円)で、前年実績比12.2%増で、4年連続で2ケタの伸びとなった。もちろん中国の大軍拡は景気対策でも有るのだが、注目すべきは「第2次世界大戦勝利の成果と戦後の国際秩序を守り、歴史を逆行させてはならない」(李克強首相)、と暗に安倍首相の靖国参拝や歴史見直しを批判したこと、さらには12月13日を南京大虐殺公式追悼の日に、9月3日を抗日戦勝記念日にする法制化案が全人代に出ていることである。

理解しがたいのは12月13日の南京大虐殺や9月3日の抗日戦勝記念日はいずれも蒋介石の国民党政権時の事である。国民党政権を武力で打倒した現中国共産党政権が国民党政権時の事を何故記念するのか?中国共産党が政権を握ったのは第2次大戦後の事である。その政権が「第2次世界大戦勝利の成果と戦後の国際秩序を守り」などと主張する事もおかしい。毛沢東は「日本軍国主義は中国に大きな利益を与えてくれました、日本皇軍が中国を侵略してくれたから我々は政権を奪取出来た」と感謝していたのである。

これらをみると走資派指導部(=中国政府)が内的矛盾を、対日開戦の外的矛盾に転化しようとしている基本戦略が浮き彫りになってくる。中国政府は安倍政権の軍事力増強を指して軍国主義批判をしているが日本の防衛費は0.8%の増額で、引き続きGDP比1%以内である。日本の自衛隊はシビリアン・コントロール下にあり、靖国神社もすでに国家神道ではない。天皇は象徴であり、戦前の絶対主義天皇制に逆行するはずがない。

中国は、自国内で新疆ウイグルやチベットの人達の信仰を弾圧しながら、安倍首相の靖国参拝を批判している。おかしな事に小泉首相が靖国神社に7回も参拝した時は、中国の批判はなかったのである。つまり中国走資派指導部の「反日」は明らかに現在の中国の内憂に関係しているのである。

中国の経済破綻をきっかけに人民の騒乱が「造反有理」(反乱には道理がある)の旗を掲げて巻き起こると、すぐさま尖閣海域で対日開戦を行い、「愛国無罪」を掲げた反日運動を巻き起こさせ、それを対置する戦略であることは間違いないのである。これを毛沢東流に表現すると「内的矛盾を外的矛盾に転化する戦略」となる。
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