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ドル体制の危機を周期的に演出するアメリカの狙い!?

巨大債務国アメリカは、1971年に金とドルの交換を打ち切って以来、「米国債本位制」とも言うべき手法により、代価もなく外国の資産を利用できるようになった。増大するアメリカの財政赤字は主に海外での軍事支出で形成されたものである。アメリカは諸外国の手持ちのドルをアメリカ企業の買収に使わないよう要請し、米国債を売り付けてドルを環流させてきたのである。

アメリカは世界通貨としてのドル発行益を懐に入れつつ、ドルを世界中に垂れ流し、諸外国に莫大な米国債(=財務省証券)を売り付けたが、以来ドルの価値は下がり続けたのである。ドル安傾向は米国債の元本の目減りを意味しており、これは事実上の債務国家による国家財産の搾取に他ならなかった。

米議会が、何故毎年連邦政府予算案をめぐり政府機関の閉鎖やデフォルト騒ぎを演じるのか?それは米国債を大量に買わされている債権国(日本や中国)に、自国のドル体制を支えさせるためである。もちろんアメリカ社会が格差社会となり、オバマの医療保険制度をめぐり米議会の妥協が成立しにくいという条件もあるが、巨大債務帝国主義アメリカとしては、ドル支配体制の危機を周期的に演出する事も必要な事なのである。

アメリカが巨大債務帝国として自国の赤字の埋め合わせに、他国の資産を搾取する為に米国債を売り付けることでしのぎ、自国の金利は出来るだけ上げないようにしてきたのである。1985年のプラザ合意で日本はアメリカに自国の金利を引き下げるよう要請され、日本は忠実にそれを受け入れたが為に、狙い通り日本経済は大バブルとなり破綻させられたのであった。

ヨーロッパや発展途上国の債務を抱える国はアメリカに、インフレではなく緊縮政策を要求され2001年のアルゼンチン政府を揺さぶったIMF暴動はこうしたダブル・スタンダードの結果起きたものであった。つまりアメリカは世界中にドル紙幣をあふれさせ、そのドルを米国債を買わせることで債務国として世界各国を支配し搾取しているのである。

もし外国の中央銀行が流入ドルをアメリカ財務省に再融資しないなら、アメリカは世界の権力者として経済制裁や暗殺や戦争などの報復をするであろう。このように自国の借金を帝国の金融的支配に利用するのは人類史上初めての事である。アメリカの言う「自由貿易」とはこうしたアメリカの「米国債本位制」を維持するための言葉であり、それは「ドル支配」と同義なのである。

しかしこうしたアメリカの巨大債務帝国主義の手法がいつまでも通じるわけが無く、統合欧州が統一通貨ユーロを作ったのもアメリカの「米国債本位制」から脱する為であった。今世界はアメリカに対抗し、インフレ政策と通貨安誘導を行っている。アメリカが政府機関の閉鎖やデフォルトの脅しで債権国から搾取するやり口がいつまでも通じるわけではない。世界経済は戦後最大の転機を迎えているのかも知れない。

日本は対米自立をめざして、アメリカのドル支配からの脱出を真剣に考えるべき時である。
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テーマ : 国際経済 - ジャンル : 政治・経済

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