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シリア空爆をためらうオバマの弱さ!

イギリス下院が8月29日、キャメロン首相が提案したシリアへの軍事介入を容認する決議案を、反対多数で否決したことで、オバマ大統領が軍事攻撃の姿勢を堅持しつつも議会の承認を得る方針を示し、米議会への説得活動を始める事を表明した。

オバマ政権の方針では、空爆が議会の承認を得たとしても時間がかかり、その間にシリア政府軍は拠点を移動するので空爆の効果は限定されたものとなるのは避けられない。

今回のシリア空爆は国連安保理の決議なしで行うため、国際世論の支持が得られない可能性が強く、しかもイラクのように政権を転覆させても、そのあとにシーアー派政権が出来たり、シリアが原理主義の拠点化し、中東が不安定化する可能性があるので、シリア空爆が事態を好転させるとは限らないのである。つまり失敗する公算が高いのでオバマは空爆をためらっているのである。

イギリスが空爆に不参加となったので、オバマはシリア空爆の是非を議会に丸投げして責任を回避した訳で、これでアメリカのシリア攻撃は難しくなった。オバマの弱さは、アメリカが戦略転換し「息継ぎの和平」の局面で、つまり財政上の制約の下で出来るだけ軍事介入は避けたいとの思いがある点である。

反米的政権を軍事介入で覆すことを目指すシリア空爆は、その口実がイラク侵略の時と同じ大量破壊兵器である事が、多くの国民の疑心を掻き立てたのである。とくにイスラエルの安全の為にエジプトの軍にクーデターを起こさせたすぐ後でのシリア空爆は、アメリカの戦略転換の間のイスラエルの安全保障の為と解るだけに、議会の承認が得られるとは限らないのである。

オバマは大統領選でユダヤロビーの支持を得ているだけにシリア空爆でイスラエルの安全を図りたいところであるが、国際世論が味方するとは限らないので日和見を決め込んだのである。議会の承認で攻撃しておけば、政治的リスクは少なくなるとの計算が働いているのであるが、攻撃がロシアや中国やイランを刺激するだけに、戦線の拡大や中東の不安定化は経済に影響するので避けたいところである。

オバマの慎重さは、アメリカ経済を再建するという「息継ぎの和平」の戦略局面での、自己の政権の戦略的任務とシリア軍事介入が矛盾するからに他ならない。イスラエルの安全が、エジプトのクーデターで担保されているとの読みもある。

アメリカが一極支配の覇権主義を維持するには10年間は「戦略的和平」を徹底的に守り、財政的消耗を避け、力を蓄える以外ないのである。オバマが「息継ぎの和平」の戦略を堅持できるかを世界が注目している。フランスが共同介入の意思を表明している戦略的狙いに注目しなければならない。アメリカを泥沼の闘いに引きずり込めば、世界は一気に多極化の時代を迎える事になる。

そうなるとドルに代わりユーロの時代が早まるのである。オバマがフランスの狙いを見抜くのは確実なので、アメリカが介入見送りを決める事もあり得るであろう。
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