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前進するかと思えた拉致問題解決の困難!

朝鮮総連本部ビル売却問題で、宗教法人による落札が「政府による資金調達妨害」で落札が不調に終わり、朝鮮総連本部ビルの扱いが外交の切り札として使える諸条件が整った。つまり朝鮮総連本部ビル問題は拉致問題で成果が欲しい官邸の意向を反映していたと見るべきである。

5月14日の飯島勲元秘書官の北朝鮮訪問は安部首相の密使であった事は間違いないであろう。つまり朝鮮総連本部ビル問題の和解による解決が可能な条件(=外交カード)を作った上で安倍は飯島(外務省の通訳が同行)を送り込んだのである。

小泉の2002年9月の北朝鮮電撃訪問の時同行していたのが当時官房副長官の安倍と首相秘書官の飯島であった。この飯島に対し北朝鮮は今回国賓級の接遇をしたと言われる。
飯島は北朝鮮ナンバー2の金永南と会談している。だが何故かこの会談内容が飯島の帰国後も全く報道されていないのである。このことは極めて意味深である。

アメリカと中国は基本的に北朝鮮問題では現状維持と非核化で一致している。アメリカも中国も朝鮮半島の不安定化が経済に与える反作用を理解しており、半島情勢の激変を望んでいないのである。

こうしたアメリカと中国の意向を知った安倍は拉致問題が長引くか、もしくは置き去りにされる事を恐れ、米日韓の連携を崩す事を恐れずに北朝鮮との交渉に踏み込んだと見るべきである。拉致問題は安倍にとって成功すれば長期政権に向け大きな得点となるが、失敗すれば政治的失点となる。つまり拉致問題は参院選前の安倍にとって「両刃の剣」なのである。

北朝鮮の側から見ると金王朝の3代目の体制はまだ盤石とはなっていないようで、だから経済優先が必要であるのに、軍事的瀬戸際外交を取らざるを得ない国内情勢が存在しているのである。つまり安倍の飯島派遣を北朝鮮側が受け取る力があるのか?という疑問が出てくる。

アメリカと中国にとっては北朝鮮の核・ミサイルが全てであり、従属国の日本が独自外交を展開して拉致問題を解決する余地があるかと言うと、極めて厳しいというほかない。拉致問題の解決には核とミサイルと分離した形で、朝鮮総連本部ビル問題を取引材料にして日本が交渉するには「手土産」が少ないのである。つまり日本が戦後賠償問題で交渉するには現状では対米自立なしには難しいのである。

安倍の努力にもかかわらず、拉致問題は解決しにくい外交的諸条件があるということである。

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テーマ : 政治 - ジャンル : 政治・経済

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