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習近平政権の経済危機対策で分かったこと

中国の経済政策での問題は二つある。一つは、途上国向けの「一帯一路」が失敗に終わったこと、この融資の返済問題。二つは国内の不動産バブルの崩壊と市場経済化の失敗である。特に公共事業一本やりの付けである地方政府の1800兆円を超える債務問題、外国企業の引き留め策、市場経済化の阻止力となっている所有制との矛盾をどのように解決策するかという難題がある。

一つ目の問題ではNHkの報道では、途上国への融資の返済が滞った場合、中国だけが途上国の専用口座から担保の現金を強制的に引き出せる契約になっていること。この専用口座には融資額全体の5%から10%が預金されていること、この口座が底を突けば、中国は途上国のインフラ事業から生み出される収益がバックアップ口座から、自動的に専用口座へ現金が補てんされる仕組みにしている、というのである。また返済が遅れた国への罰則として罰則金利として3%から8.7%に引き上げているという。

欧米諸国が途上国の債務問題を解決するために中国に途上国債務問題への支援協調を呼びかけても、中国政府が相手にしないのは、こうした独善的な資金回収策を講じているからである。しかし高利貸し資本のような中国政府の罰則金利が、アジア・アフリカ諸国が金の切れ目が縁の切れ目とばかり、中国政府から離れることは確実で、途上国の経済発展を考慮しない中国政府の独善的債権回収策は逆に戦略的にはマイナスとなるであろう。

二つ目の問題では、習近平政権は12月11,12日の二日間北京で来年の経済政策の方針を決める「中央経済工作会議」を開いた。この会議では来年の中国経済について「国内需要の不足や、外部環境の複雑さと深刻さの高まりなど、いくつかの困難と課題を克服する必要がある」と指摘し、景気を下支えする方針を確認したという。また「金融システム全体へのリスク波及ゼロを堅持し、不動産リスクを積極的に解決する」としたが、いずれも習近平の一面思考の現れである対症療法的対策である。

現在の中国政府の経済危機は本質的には、政府の市場経済化の政策と、社会主義的所有制の矛盾であり、したがって自由競争の市場を作ることは所有制の改革を伴わなければ市場経済化は実現しない。ところが国営企業は官僚の利権であるので、習近平は手を付けられない。国有の土地の使用権の売却で地方政府の財政を賄っている以上、不動産不況に伴う構造的経済危機を切り抜けることは難しいのである。

中国人民は、経済不況の中で収入が半分に減る中で耐乏生活を続けている。問題は習近平指導部がどこまで効果的な景気政策を打ち出せるかだが、習近平指導部はその解決策を何も見出していないように見える。もともと資本蓄積のない、しかも社会主義的自給自足経済である中国内陸部で、公共事業で産業都市を作ろうが、マンション群を多く作ろうが、投資資金も購入資金もなく、売れるはずもなかった。

中国政府の「国内需要の不足」とは、外国企業のための生産拠点としての低賃金政策が基礎になっている。元社会主義の国が、官僚独裁で市場経済を目指しても所有制の壁にぶつかるだけであり、無計画な官僚の需要を無視した実績主義が、壮大な無駄を作り上げるだけなのだ。人口14億の中国で建設したマンションの数が30億人分だと言われるのは、官僚独裁の弊害というべきだ。

もっともその統計数字さえ水増しされている可能性もある。官僚の成果争いの結果、統計数字がでたらめな社会で、正しい経済政策などできようはずもない。中国は資本主義以上に無計画な官僚経済なので、経済的矛盾を理解できない習近平政府が経済危機を抜け出す根本的方策は難しく、付け焼刃の対症療法でしかできないないのである。

習近平政権の経済対策が対症療法的であるのは、外資系企業の中国離れを引き留める政策にも表れている。習近平指導部は最近の共産党指導部の会議で、外資系企業の合法的な権益を守り、中国で生活する外国人の利便性を高めるための関連法を整備する方針を示した。

しかし、外国企業の抱えるリスクは、ゼロコロナ政策で中国からの部品の供給が断たれるなどの生産的リスクや、今年7月に改正された「スパイ防止法」による社員の突然の逮捕などによるものであり、「利便性を高めるための関連法を整備」がどこまで効果があるか疑問が持たれている。最近習近平がベトナムを訪問し足り、オーストラリア政府との関係改善に乗り出したのは批判の多い「戦狼外交」からの修正である。

習近平政権は経済危機下で左を装い、「反腐敗」で独裁体制を強めて、習近平思想の学習運動で大衆を欺瞞しているが、習近平の一面思考的な経済対策では、現状の経済危機は解決できそうもない。世界の関心は、今後の中国における派閥の権力闘争の行方に向かうであろう。習近平の個人独裁強化は一面思考の最たるもので、実際には権力の脆弱性を高めているので、経済危機の深刻さが政変に転化する可能性は大きいのである。
# 中国経済危機
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コメント

確かに対症療法ですね

 習近平は官僚独裁の限界です。
  経済危機が深刻化すると何をするかわからないですね。
   官僚の多くを辞職に追い込んで、
    今度は軍部も太子党も敵にしました。    
     国民の我慢もいつまで続くかです。
      台湾の総統選が中国派候補の敗北で終わると
       習近平の失敗が明らかになります。習近平は危ういと思う。 

反腐敗は障害では?

 習近平は「反腐敗」でライバルを蹴落としてきました。ですから国有財産を私有にすることは、国民の財産を簒奪することになるので、所有制に手を付けることはどできないです。
 国営企業の株を売却して民営化するなど、方法があるのに、それができないのは国民の財産を私物化することになるからです。「反腐敗」が障害になっています。

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