「反腐敗」が市場経済化の桎梏となった中国の矛盾
中国国営メディアは27日、李克強(リーコーチアン)前首相が同日未明に心臓病の発作で死亡したと一斉に伝えた。68歳だった。共青団出身のエリートだった李克強氏は経済に明るく、政治局会議で習近平の批判演説をしたこともある。そのため首相であるのに、習近平に経済担当を外されて、その能力を発揮できないでいた。いわば習近平の個人独裁の犠牲になった政治家である。
報道によると、中国で27日、NHK海外放送のニュース番組が李克強前首相が死去したことを伝えた際、放送の一部が遮断され、カラーバーと「信号異常」を示す画面に切り替わった。中国当局が制限を加えたとみられる。中国では政治指導者の死を機に追悼行事を利用し、政権批判が盛り上がるので、当局が警戒を強めている。
李克強前首相の訃報が伝えられた27日、中国の交流サイト(SNS)で「あなたではなく残念」という恋愛ソングのタイトルが急速に拡散した。マレーシア出身の華人歌手、梁静茹(りょう・せいじょ)さんの人気曲は直ちに当局の検閲対象になった。投稿には習近平国家主席への批判の意図が込められている。亡くなったのが李克強ではなく「あなた」(=習近平)ならよかったのに、という強烈な中国人民の習近平批判である。
習近平政権は李克強への追悼活動が体制批判へと発展することに神経をとがらせている。背景にあるのは、社会経済への統制と、それと反比例する不況・生活苦への不満を強める人々の習近平政権への怒りが高まっているからである。
習近平政権は、「反腐敗」を口実に江沢民派幹部を弾圧・排除し、続いて胡錦濤派幹部(団派)に矛先を向け、最近では自分がよって立つ太子党幹部(古参党幹部の子弟)に矛先を向け、とりわけ軍幹部の粛清を強行している。やっていることは個人独裁を固めているように見えるが、経済危機下で自分のよって立つ支持基盤を掘り崩す愚行にも見える。
中国の官僚の派閥は、江沢民派・胡錦濤派(団派)・太子党の3つがある。鄧小平が確立した集団指導体制は、党官僚たちの各派閥の均衡の上に安定を保つ政策であったが、習近平は個人独裁という視点から官僚独裁を攻撃している。これは非常に危ういというしかない。
習近平はとりわけ内陸部の市場経済化で失敗している。所有制の制約があり、資本蓄積もない内陸部で、公共事業をいくらやっても私企業が成長するのは限界がある。成長するのは土地の使用権を国から安く買える党幹部の縁者が経営する不動産業ぐらいなのである。中国で私企業を早く増やすには国営企業の払い下げしか方法がないが、それは共有財産(全人民所有制)の横領に等しいので、「反腐敗」を掲げる習近平には取りえない政策であった。つまり「反腐敗」が市場経済化の桎梏(しっこく)となっているのである。
中国経済の深刻化は、習近平の独裁強化が経済の衰退、縮小を招いていることである。習近平思想と称して、大中華民族主義の教育を徹底しようとして、塾や私学を禁止したことで一千万人以上の知識人が失業した。ゼロコロナ政策のやり過ぎでは多くの私企業を倒産・廃業に追い込んだ。江沢民派の利権である建設業界への締め付けで、建設業界は倒産が続出しかねない事態となった。これはすべて習近平が招いた危機である。
経済に無知な指導者が、独裁強化一本やりで、市場経済化を絞め殺しつつあるのが今の中国だ。習近平に残る経済政策は、国営企業の軍事産業化であり、対外軍事侵略の道しかない。中国の政治体制は個人独裁の政策と官僚支配構造の矛盾であり、経済面での矛盾は市場経済と所有制の矛盾が、共に限界に差し掛かっているといえる。習近平体制は危ういというしかない。
#習近平の独裁
報道によると、中国で27日、NHK海外放送のニュース番組が李克強前首相が死去したことを伝えた際、放送の一部が遮断され、カラーバーと「信号異常」を示す画面に切り替わった。中国当局が制限を加えたとみられる。中国では政治指導者の死を機に追悼行事を利用し、政権批判が盛り上がるので、当局が警戒を強めている。
李克強前首相の訃報が伝えられた27日、中国の交流サイト(SNS)で「あなたではなく残念」という恋愛ソングのタイトルが急速に拡散した。マレーシア出身の華人歌手、梁静茹(りょう・せいじょ)さんの人気曲は直ちに当局の検閲対象になった。投稿には習近平国家主席への批判の意図が込められている。亡くなったのが李克強ではなく「あなた」(=習近平)ならよかったのに、という強烈な中国人民の習近平批判である。
習近平政権は李克強への追悼活動が体制批判へと発展することに神経をとがらせている。背景にあるのは、社会経済への統制と、それと反比例する不況・生活苦への不満を強める人々の習近平政権への怒りが高まっているからである。
習近平政権は、「反腐敗」を口実に江沢民派幹部を弾圧・排除し、続いて胡錦濤派幹部(団派)に矛先を向け、最近では自分がよって立つ太子党幹部(古参党幹部の子弟)に矛先を向け、とりわけ軍幹部の粛清を強行している。やっていることは個人独裁を固めているように見えるが、経済危機下で自分のよって立つ支持基盤を掘り崩す愚行にも見える。
中国の官僚の派閥は、江沢民派・胡錦濤派(団派)・太子党の3つがある。鄧小平が確立した集団指導体制は、党官僚たちの各派閥の均衡の上に安定を保つ政策であったが、習近平は個人独裁という視点から官僚独裁を攻撃している。これは非常に危ういというしかない。
習近平はとりわけ内陸部の市場経済化で失敗している。所有制の制約があり、資本蓄積もない内陸部で、公共事業をいくらやっても私企業が成長するのは限界がある。成長するのは土地の使用権を国から安く買える党幹部の縁者が経営する不動産業ぐらいなのである。中国で私企業を早く増やすには国営企業の払い下げしか方法がないが、それは共有財産(全人民所有制)の横領に等しいので、「反腐敗」を掲げる習近平には取りえない政策であった。つまり「反腐敗」が市場経済化の桎梏(しっこく)となっているのである。
中国経済の深刻化は、習近平の独裁強化が経済の衰退、縮小を招いていることである。習近平思想と称して、大中華民族主義の教育を徹底しようとして、塾や私学を禁止したことで一千万人以上の知識人が失業した。ゼロコロナ政策のやり過ぎでは多くの私企業を倒産・廃業に追い込んだ。江沢民派の利権である建設業界への締め付けで、建設業界は倒産が続出しかねない事態となった。これはすべて習近平が招いた危機である。
経済に無知な指導者が、独裁強化一本やりで、市場経済化を絞め殺しつつあるのが今の中国だ。習近平に残る経済政策は、国営企業の軍事産業化であり、対外軍事侵略の道しかない。中国の政治体制は個人独裁の政策と官僚支配構造の矛盾であり、経済面での矛盾は市場経済と所有制の矛盾が、共に限界に差し掛かっているといえる。習近平体制は危ういというしかない。
#習近平の独裁
スポンサーサイト

<<イスラエルは憎しみを再生産するガザ攻撃をやめよ | ホーム | 減税と増税は矛盾しないという首相の詭弁の狙い>>
コメント
私も習近平は反撃を受けると思う
コメントの投稿
トラックバック
| ホーム |
最近は軍人まで大量に粛清している。
軍人には太子党が多く、習近平をあがめるような人物は少ない。
習近平は非常に危ない状態にあると思う。