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ゼロコロナ政策が中国不動産不況を深刻化させた

中国経済は、バブル崩壊後の日本と重ねて「日本化」が指摘されているが、本質は日本とは大きな違いがある。中国は土地はすべて国有であり、幹部の子弟、親族などが不動産会社を設立し、土地の使用権を安く払い下げを受け、銀行から資金を借り入れて、ビルを建ててぼろ儲けしてきた。つまり中国における不動産成金(新富人)は、事実上国有財産の横領に等しいのであり、このような経済構造の「好況」がいつまでも続くものではない。

中国の不動産不況が特に深刻なのは、不動産会社の大手が江沢民派の利権であることから、習近平が2020年に「中国版総量規制」といえる不動産融資規制を打ち出したことが契機となり、同時期にゼロコロナ政策後、国民が節約に走り、このため消費が縮小し、景気が減速して不動産の販売が低迷し、不動産大手の経営悪化を深刻化させた。

今月10日には碧桂園が、23年1~6月期の最終損益が最大550億元(約1兆1千億円)の赤字に転落するとの業績予想を発表。資金繰りも悪化しており、ロイター通信によると碧桂園は米ドル建て社債の利払い計2250万ドル(約33億円)を8月6日の期日までに実施できなかった。

巨額の赤字公表は広がっており、遠洋集団も14日に23年1~6月期の最終赤字が最大200億元になる見通しだと発表。経営再建中の中国恒大集団が7月発表した21年と22年の12月期連結決算の最終赤字は計約5819億元にも上った。

経営再建中の中国不動産大手、中国恒大集団は17日、米ニューヨークの裁判所に外国企業の破産手続きを調整する連邦破産法15条の適用を申請した。中国では消費低迷による不動産市況の悪化が深刻化しており、中国恒大は不動産不況の象徴的な存在となっている。恒大が7月に発表した昨年末時点の負債総額は2兆4374億元(約48兆円)に上り、債務超過となっていた。

習近平はゼロコロナ政策で、世界に独裁政権の有用性を強調して回ったが、皮肉なことにその強権的ゼロコロナ政策による都市封鎖で、多くの国民が飢え死にする恐怖を経験した。つまりゼロコロナの反作用が節約志向による消費の減少であり、不動産不況を深刻化させたのである。総量規制で不況に直面していた不動産会社の物件が売れるはずもなかった。銀行の貸し出しが規制されれば、建設中の工事も止まる。これが今の中国の不動産不況の現状なのである。

つまり中国における不動産不況は、日本の土地バブル崩壊とは違い、社会主義的所有制の下での中国式市場経済化の持つ矛盾である点が、大きな違いがあり、したがって中国の不動産不況を「日本化」と表現することは、所有制と資本主義化の矛盾を見落とす危険がある。

習近平政権が現在直面する不況は、社会主義的所有制下における市場経済化が持つ構造的なものであり、中国式市場経済化を推進する習近平政権は、毛沢東が文化大革命で行った全人民所有制の推進の壁にぶつかっているのであり、彼はこれを克服する手段を見いだしていないように見える。資本主義経済は基本的に自由放任の経済であり、独裁的手法で資本主義経済が運営できるはずもなかった。経済危機が政治危機を招き、それが苦し紛れの戦争に走る危険が増している。
#中国の不動産不況
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コメント

中国の恒大集団

 不良債権が48兆円とはすごい。
  親方「五星紅旗」でやりすぎですね。
   習近平さんはどうしますかね?政治闘争になるか?
    それとも台湾侵攻か?
     北載河会議が気になりますが?報道がないですね。

構造的経済危機なのですね

 習近平は政争になるか、それとも戦争か?曲がり角ですね。
 近く外相を更迭した狙いが分かるかも?
 とにかく危険な政権です。

No title

 世界的不況になるのでは?
  中国は経済がダメになると戦争を選ぶ可能性があるのでは?

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