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社会現象は経済的基礎から見なければならない!

(1)世界情勢はアメリカの一極支配が揺らぎ始め、世界は多極化しつつある。多極化をアメリカの多極主義者の仕業だと説明する人もいる。

(2)アメリカは国内で対立と分断が激化し、治安が崩壊しつつある。フランスも若者の暴動が続発し、治安は崩壊状態だ。マクロン大統領は暴動に参加した未成年者の親に「罰金」を強化する法整備を進め始めた。ドイツでは極右が台頭しクーデター未遂事件まで起きた。欧米で普遍的に進む治安の崩壊はなぜなのか。

(3)日本経済は、いぜん縮小再生産の負のサイクルを続け、デフレ経済から未だに脱却できないでいる。日本経済は12年ほど前に中国にGDP世界第2位の地位を奪われたが、今では日本のGDPは中国の3分の1である。その結果日本は格差社会となり、詐欺師が横行し、犯罪が激増した。

これら(1)~(3)は、経済的基礎から見なければ、社会現象の本質は見えにくいのである。経済的基礎から見るには、米ソの冷戦後の政策から見なければならない。
米ソの2大陣営の対立、すなわち冷戦は世界市場を2分割し、資本主義と社会主義の、双方の陣営は自分たちの政治体制の正しを誇示するため、福祉に力を入れ、野蛮な搾取を控えた。

官僚独裁の旧ソ連が崩壊し、冷戦後の先進国首脳会議(G7)は、世界市場のブローバル化の中で、「平和の配当」を追求する方針を決めた。社会主義の脅威がなくなり、いわゆる強欲の資本主義の政策で、際限のない利益追求が可能になったと考えた。表現を変えれば「野蛮な搾取」を追求することを決めた。この政策方針が先に書いた「平和の配当」の政策であり、その結果諸現象を生み出したのである。

グローバル市場の誕生は、世界資本主義経済を発展させた。つまり資本主義経済の不均等発展が、EUの拡大、中国・インドの経済成長を生み、相対的にアメリカの世界支配の経済的地位を低下させただけでなく、日本経済をも衰退させることになった。つまり(1)の世界の多極化はアメリカの多極主義者の仕業ではなく、資本主義経済の「不均等発展の法則」の結果なのである。

欧米(2)におけるの治安の悪化や、日本(3)の経済の衰退は、冷戦崩壊後の強欲の資本主義の政治の結果であり、資本主義経済は、労働者と資本家の分配率のバランスが、経済成長には不可欠であるが、「平和の配当」の旗印の下で、欧米も日本も、強欲の資本主義の野蛮な搾取政策に転じた結果、労働者の貧困化が進み、先進国は総じて階級間の収入格差が拡大し、階級矛盾が激化したのである。

プロイセンの軍事家であったクラウゼヴィッツは「戦争が他の手段を以ってする政治の延長」(「戦争論」)だとのべた。政治は経済対立の延長であり、戦争は政治対立の延長である。すでに説明したように、アメリカの一極支配が終わり、世界が多極化することは、資本主義経済の不均等発展の法則の結果であり、誰かの画策の結果ではない。

旧ソ連の崩壊で、東欧諸国をユーロ経済圏に飲み込んだEUは、ロシアの安いエネルギーに依存して、その経済圏を拡大し、アメリカのドル支配を脅かす存在となりつつあった。アメリカは旧ソ連の「柔らかい下腹」と評されたウクライナの、極右勢力をテコ入れし、クーデターで親ロシア派政権を打倒し、このジェレンスキー政権にNATO加盟を表明させてロシアを挑発した。こうして始まったウクライナ戦争は、ユーロ経済圏には大きな打撃となった。

つまりウクライナ戦争は経済的劣勢となったアメリカの、一極支配維持への反撃という側面があった。しかしこの戦争が、中国の世界戦略の上での優位を生み出したのであるから皮肉というほかない。世界はアメリカと中国の覇権争いを激化させることになった。

ロシアを中国の側に追いやったことで、ロシア・中国陣営に中東産油国が付いたことで、世界のエネルギー価格と食糧価格が高騰した。このインフレが欧米や日本の労働者の貧困化を深刻化し、治安の悪化が世界的に進行したのである。

世界情勢の変化は、経済的基礎から見るべきであり、経済の延長線に政治の変化があり、政治の延長が戦争なのである。ゆえに戦争を見る上では、誰が初めに攻撃したかではなく、重要なのは誰が画策した戦争なのか?が重要なのである。
#先進国の治安の悪化 #強欲の資本主義 #格差社会
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コメント

重要な観点ですね!!

 社会現象や政治現象を経済的基礎から分析する。これが正しいと思います。
新世紀ユニオンはさすがですね。

No title

 なるほど、経済的基礎から見れば明白ですね。
  勉強になります。

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