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広島サミットが示したG7内部の矛盾

新聞報道によると、ロシアの経済紙コメルサント(電子版)はG7について、21日「和平交渉ではなく、武力でロシアを敗北させるというウクライナの仲間たち(G7)の決意を示した」と論評した。一方で同紙は「グローバルサウス(南半球を中心とする新興・途上国)の多くがG7と異なる立場をとっている」とし、G7は世界の総意ではないとする見方を強調した。
同記事は最後に「ロシアに『戦略的敗北』を与えようと固執するG7首脳陣は、ウクライナの指導者を彼らの会合に出席させ、とうとう広島での行事をプロパガンダ(政治宣伝)ショーに変質させた」などとする声明を露外務省が発表したとも伝えた。(産経新聞)

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昔は発展途上国を「第三世界」と呼んだが、今は「グローバルサウス」と呼ぶ、その発展途上国の7割がウクライナ戦争では中立の立場を保持している。ウクライナのゼレンスキーを広島サミット(G7)に招待した目的は、インドなどの「グローバルサウス」の国々を反ロシアに取り込む機会とすることにあったが、インドのモディ首相は対話による紛争解決を求めたのであるから、G7の狙いは成功しなかった。ウクライナ戦争が代理戦争であることをグローバルサウスの国々は理解しているのである。

G7が初めて、中国に対する共通の政策で合意できたのは画期的であるが、首脳声明の中国をめぐる文言で、フランスのマクロン大統領は抑えた表現にしようとし、これを受けてアメリカのバイデン大統領が、首脳声明で「中国の経済的進歩および発展を妨げようとしない」という文言を受け入れたことは注目すべき点である。もともとバイデンは中国政府から多額の資金(報道では70数億円といわれている)を受け取っていることをトランプが指摘していたので驚くべきことではないが、アメリカが妥協を迫られた事実は、記憶しておくべきことである。つまりフランス(=欧州)とアメリカ・日本とは中国の脅威をめぐり、真向から対立したということである。

報道によると、ドイツ紙ウェルトは、「G7が初めて、中国に対する共通の政策で合意できた」と成果をたたえた。同紙は首脳声明について「米国のタカ派が求める強硬な立場はとらなかった。それでも、中国への過度な依存を減らしてリスクを抑え、先端技術を保護することに合意し、スタートを切ることができた」と意義を強調した。ドイツも「中国の経済的進歩および発展を妨げようとしない」という文言を評価しているということだ。

指摘しておかねばならないことは、今後中国の経済的進歩と発展は限界にぶつかるということである。旧社会主義の国は、たとえ市場経済に移行したとしても、全人民所有制が制約となり、価値法則の貫徹を妨げ、社会主義的自給自足経済では市場経済化には限界があるということだ。旧社会主義の国が官僚独裁となり、資本主義の道を歩もうとも、その国家資本主義経済は所有制と矛盾し、経済発展は一時的で、すぐに壁にぶつかるということである。ゆえに中国は投資をブローバルサウスの国々に行い、その投資は失敗に終わる。

ロシアが普通の資本主義になれなかったように、中国も普通の資本主義国にはなれない。官僚独裁が、個人独裁のファシスト政権に発展している中国はなおさら経済的壁にぶつかるのは必然だ。ロシアが旧ソ連時代の領土回復に進むように、中国も過去の歴史的領土に固執し、軍事的拡張主義に突き進むのである。それは内的矛盾の激化を、外的矛盾に転化する以外に、権力を維持できなくなるからである。つまり中国の経済的進歩を妨げないようにG7が務めても、経済政策で中国は失敗し、戦争に活路を求めざるを得ないのである。これは必然である。
#G7内部の矛盾
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コメント

No title

 中国に配慮しても中国経済は破綻するのですね。

 だから中国は危険なファシスト国家だというわけですね。

 バイデンは本当は中国敵対できないようですね。

 先端技術だけ隔離する、と言うのではアメリカは危ういのでは?

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