米中の対立の中での中国の対日戦略
中国の世界覇権への野心が明確になる中で、アメリカは先端技術の封じ込めの戦略で、中国の野心的な工業技術での世界トップを狙う計画=「中国製造2025」計画をアメリカは阻止しようとしている。これに対抗する中国は、中国を製造拠点にしている日本を米中対立の中立に立たせる戦略を立てつつある。中国は「一帯一路」で欧州との経済関係を強めてきたが、アメリカ政府はウクライナ戦争で、ロシア・中国連合と欧州の分断に成功しつつある。
中国に2万5000社も進出している日本を一時的にでも米中対立の中立に立たせることは、半導体産業を持つ台湾と日本を各個撃破し、占領する中国の覇権戦略にとって極めて重要となる。中国政府が、ハイテク製品に欠かせない高性能レアアース(希土類)磁石の製造に関する技術の輸出禁止に向けて検討作業を進めているのは、日本の産業界が中国のレアアースに依存しているのを外交の切り札にしようとするものである。在中国の日本人17名がスパイ罪で不当に逮捕されたことも、中国の日本外交への警告といえる。
重要物資である磁石のサプライチェーン(供給網)を中国が囲い込むことで、アメリカ政府が中国の先端半導体技術のデカップリング(切り離し)への協力を日本・オランダに呼び掛けているので、これへの反撃の切り札としようとしている。世界のハイテク産業の「中国依存」を高め、アメリカの先端半導体技術の封じ込めに対抗する思惑である。
中国は、レアアースの採掘や精錬、製造といった一連の工程を国内で完結できる態勢を築いているといわれる。2021年には採掘から輸出までの統制を強化する「レアアース管理条例」の草案を発表するなど、「国家安全」を左右する重要物資として統制を強めている。中国が製造に関する技術を禁輸すれば、高性能レアアース磁石で中国の優位性が世界的に高まるとみられる。
しかし、レアアース製品には、永久磁石だけでなく、LEDやレーザーなどの発光材料、水素吸蔵合金、研磨剤、MRI造影剤、医薬品やゴムの合成触媒などがあるが、これらは日本が得意とするハイテク産業の中核を成している。つまりレアアースは日本産業界の生命線ともいえる。
これまでも中国政府はレアアース輸出禁止を、対日本外交の切り札にしてきた過去がある。世界のレアアースのほとんどを中国が生産している強みがある。このように中国政府が高性能レアアースを外交の切り札にしようとしているが、これを阻止する切り札を日本は手に入れつつある。南鳥島沖水深6,000mの海底下に眠るレアアース泥である。
南鳥島沖水深6,000mの海底下には広くレアアース泥が分布している。レアアース泥は、通常の岩石よりも放射性元素の含有量が少なく放射性元素の処理がいらない“クリーンな資源”で、レアアース抽出も容易である。常温の希酸に短時間浸すだけでレアアースのほとんど全てを抽出できる。
しかし、レアアース泥は深海底に存在する堆積物であり、これまでは大量に海上に引き上げる技術は世界のどこにもなかった。国立研究開発法人海洋研究開発機構は、深海に堆積するレアアース泥採鉱を可能にする技術を開発し、地球深部探査船「ちきゅう」を用いた茨城県沖水深2,470mの地点において実施した試験で、海底堆積物の揚泥に世界で初めて成功し、南鳥島沖水深6,000mの海底のレアアース泥採掘のめどが立ちつつある。問題は南鳥島沖水深6,000mの海底からいかにコストをかけずに採掘するかにかかっている。
当然、コストは中国産のレアアースよりも高価になるであろうが、初期投資分を国の資金投入で国策として開発すれば、中国の日本への外交圧力としての切り札を無価値にできるのである。政府は時代遅れの高価なトマホーク400基購入よりも、戦略資源開発に資金を投入すべきであろう。経済面で中国に後れを取れば、先端産業のコメであるレアアースの輸出禁止で日本は中国に膝を屈することになりかねない。南鳥島沖水深6,000mの海底下のレアアース開発を一層急ぐべきである。
#中国の対日戦略 #レアアース
中国に2万5000社も進出している日本を一時的にでも米中対立の中立に立たせることは、半導体産業を持つ台湾と日本を各個撃破し、占領する中国の覇権戦略にとって極めて重要となる。中国政府が、ハイテク製品に欠かせない高性能レアアース(希土類)磁石の製造に関する技術の輸出禁止に向けて検討作業を進めているのは、日本の産業界が中国のレアアースに依存しているのを外交の切り札にしようとするものである。在中国の日本人17名がスパイ罪で不当に逮捕されたことも、中国の日本外交への警告といえる。
重要物資である磁石のサプライチェーン(供給網)を中国が囲い込むことで、アメリカ政府が中国の先端半導体技術のデカップリング(切り離し)への協力を日本・オランダに呼び掛けているので、これへの反撃の切り札としようとしている。世界のハイテク産業の「中国依存」を高め、アメリカの先端半導体技術の封じ込めに対抗する思惑である。
中国は、レアアースの採掘や精錬、製造といった一連の工程を国内で完結できる態勢を築いているといわれる。2021年には採掘から輸出までの統制を強化する「レアアース管理条例」の草案を発表するなど、「国家安全」を左右する重要物資として統制を強めている。中国が製造に関する技術を禁輸すれば、高性能レアアース磁石で中国の優位性が世界的に高まるとみられる。
しかし、レアアース製品には、永久磁石だけでなく、LEDやレーザーなどの発光材料、水素吸蔵合金、研磨剤、MRI造影剤、医薬品やゴムの合成触媒などがあるが、これらは日本が得意とするハイテク産業の中核を成している。つまりレアアースは日本産業界の生命線ともいえる。
これまでも中国政府はレアアース輸出禁止を、対日本外交の切り札にしてきた過去がある。世界のレアアースのほとんどを中国が生産している強みがある。このように中国政府が高性能レアアースを外交の切り札にしようとしているが、これを阻止する切り札を日本は手に入れつつある。南鳥島沖水深6,000mの海底下に眠るレアアース泥である。
南鳥島沖水深6,000mの海底下には広くレアアース泥が分布している。レアアース泥は、通常の岩石よりも放射性元素の含有量が少なく放射性元素の処理がいらない“クリーンな資源”で、レアアース抽出も容易である。常温の希酸に短時間浸すだけでレアアースのほとんど全てを抽出できる。
しかし、レアアース泥は深海底に存在する堆積物であり、これまでは大量に海上に引き上げる技術は世界のどこにもなかった。国立研究開発法人海洋研究開発機構は、深海に堆積するレアアース泥採鉱を可能にする技術を開発し、地球深部探査船「ちきゅう」を用いた茨城県沖水深2,470mの地点において実施した試験で、海底堆積物の揚泥に世界で初めて成功し、南鳥島沖水深6,000mの海底のレアアース泥採掘のめどが立ちつつある。問題は南鳥島沖水深6,000mの海底からいかにコストをかけずに採掘するかにかかっている。
当然、コストは中国産のレアアースよりも高価になるであろうが、初期投資分を国の資金投入で国策として開発すれば、中国の日本への外交圧力としての切り札を無価値にできるのである。政府は時代遅れの高価なトマホーク400基購入よりも、戦略資源開発に資金を投入すべきであろう。経済面で中国に後れを取れば、先端産業のコメであるレアアースの輸出禁止で日本は中国に膝を屈することになりかねない。南鳥島沖水深6,000mの海底下のレアアース開発を一層急ぐべきである。
#中国の対日戦略 #レアアース
スポンサーサイト

<<台湾への統一戦線工作を破壊した香港独裁! | ホーム | NATO拡大は欧州の対立を拡大する>>
コメント
No title
コメントの投稿
トラックバック
| ホーム |
日本が海底のレアアース資源開発をすべきなのがよくわかります。
政府は、中国が輸出規制をしないうちに開発しておくべきですね。
初期費用さえ政府が負担したら、コストは高くはならないと思います。