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広がる金融危機が政策のジレンマを招いている

10日にアメリカのIT企業が地盤のシリコンバレーバンク(SVB)が破綻して以降、金融不安は各地で広がっている。12日に米東部ニューヨーク州のシグネチャー・バンクが破綻。16日には再び米カリフォルニア州のファースト・リパブリック・バンクに対して米大手銀が救済策を発表した。

バイデン米大統領は17日、相次ぐ米銀の破綻を受けて「経営陣の責任を厳しく追及すべきだ」とアメリカ連邦議会などに対応を求める声明を公表した。金融監督の甘さも指摘されるなか、危機を招いた個別行の経営責任を明確にしたい考えを示した。

19日には経営不安が再燃していたスイス金融大手のクレディ・スイスを、同じスイスのUBSが買収することが決まった。スイス政府とUBS、クレディ・スイスが19日発表した。買収額が30億スイスフラン(約4260億円)相当となる株式交換で実施する。米シリコンバレーバンク(SVB)の破綻で金融システム不安が高まって経営不振のクレディ・スイスの株価が急落し、預金や預かり資産の流出も加速していた。

スイスの金融機関大手クレディ・スイス・グループは19日、同社が発行した劣後債の一種である「AT1債」について、約160億スイスフラン(約2.2兆円)分の価値をゼロにすると発表した。株式より低リスクとされる社債での異例の巨額損失発生となる。投資家心理が悪化して、世界の社債市場での売りに波及する可能性もある。

アメリカ連邦準備理事会(FRB)など日米欧の6中央銀行は19日、中銀が協調して市場へのドル供給を強化すると発表した。相次ぐ銀行の経営不安拡大に対応しした措置である。金融不安が強まると短期金融市場での取引が細り、自力でドルを調達するのが難しくなる金融機関が増える。このため中銀が「最後の貸し手」としてドルを供給することで金融危機拡大の回避を策している。

日銀が保有する国債の含み損が2022年12月末時点で9兆円規模になったことが17日、わかった。日銀の政策修正で金利が上昇(債券価格は下落)し、9月末の8749億円から10倍以上になった。政府が発行する大量の国債を日銀が事実上無制限に引き受ける、無責任なインフレ政策の継続が金融不安を拡大する可能性がある。

銀行不安がアメリカから欧州へと広がり、欧米中銀の利上げ路線が試練を迎えている。金融システムの安定には利上げの減速や停止が望ましいが、インフレを再加速させるリスクがある。欧州中央銀行(ECB)は16日、3会合連続となる0.5%の利上げを決めたが先行き不透明感は強い。アメリカ連邦準備理事会(FRB)は21〜22日の会合で利上げを見送るとの観測されている。

コロナ禍で欧米各国はゼロ金利による企業救済のインフレ政策を行ったが、その結果物価の高騰を引き起こし、これをウクライナ戦争がさらに原材料価格を高騰させた。物価を抑制しようと金利を上げたら、今度は金融危機が表面化し、拡大し始めた。

G7が進めたグローバル化の中での「平和の配当」と称する強欲の資本主義の政策が、先進各国の金融資本に巨大な利益獲得させ、金融資本のマネーゲームを招き、低金利のインフレ政策が物価の急上昇を招き、これを抑制するための金利上昇が、今度は金融危機を招くことになった。物価の上昇を抑制しなければ政治危機を招き、物価の高騰を防ぐために金利を上げれば金融危機を招く。これはジレンマであり、一つの危機克服策が新たな危機を招く事態を生み出している。つまり国際経済が矛盾を蓄積し、爆発寸前となっているということである。

不毛の争いであるウクライナ戦争をすぐさま停戦させ、エネルギーと食糧価格を正常に戻さないと、世界的経済危機と、戦争の危機を拡大しかねない事態が生まれている。バイデン米大統領が「経営陣の責任を厳しく追及すべきだ」と発言したのは、再選を控えた政治責任回避であるが、ウクライナを使いNATO加盟でロシアを挑発したのはバイデンであり、彼が今回の事態を生み出した最高責任者であるのは明らかだ。拡大する金融危機はバイデンの再選を難しくする可能性が強い。
#広がる金融危機
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コメント

No title

 大恐慌になりそうで怖いですね。
アメリカはマネーゲームの国ですからまたリーマンショックのようになるのかも?
 とにかく早く戦争を終わらせないと大変なことになりそうですね。
  

経済恐慌はありますか?

 戦争が続くと物価の高騰も続きそうですし、そうすると物価を押さえるために金利を上げます。金利を上げると債券投資をしている保険会社や銀行が倒産する。つまり世界恐慌まで突き進む可能性があると思う。

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