習近平政権の経済政策が成功しない理由
中国の議会である全人代や、各種党と政府の会議では、ことごとく満票で議題が承認される。習近平のように江沢民派や共青団派などの反対派の幹部を、反腐敗を口実に排除すると、反対意見が出しずらくなる。また「最高支持」が「つるの一声」で組織に下されると、中国では出世競争で常に行き過ぎが起きる。またゼロコロナ政策の転換のように、180度政策が変わるときは、逆に地方幹部は責任逃れのために、どうしても保身から行動に慎重になりすぎる。
最高指導者の習近平に抜擢されたい、出世したいゴマすり官僚たちは、習近平の評価獲得のために仕事をし、自分の担当部署の成果を見せかけるなど、忖度・忠誠合戦が繰り広げられ,各種経済統計など主要経済統計さえ改ざんされる。それが県から州へ、州から中央へ上がるたびに起きるのである。それゆえ中国の経済統計は、ほとんど客観を反映しておらず、信用できないのである。
習近平「一強体制」の弊害が指摘されているのは、中国が官僚独裁の国であるからだ。日本でも企業内労組が監視の目を光らせていた時は、企業内の不正は少なかった。ところが労組が家畜化したあとは、製品の検査データ改ざんなど不正が万延し、パワハラ自殺が増え、企業の技術力が衰えている。これが日本の一流企業でさえそうなのであるから、官僚独裁の中国ではなおさら、政権内の反対勢力の存在が貴重となる。ところが習近平はすべての反対派を排除し、「お友達政権」にしたのであるから、その政権運営が正常に機能するわけがない。政策遂行の各段階で起きる様々な矛盾をうまく処理できるわけがない。
毛沢東の大躍進政策が失敗したのは、こうした官僚組織の弊害があったからで、それ以後の毛沢東は、一つの地域で実験的に実施し、成功すれば全面に波及する手法をとった。例えば自然を改造・開墾し、耕作地を拡大する実験は、大賽で実験的に実施してから、「大賽に学ぶ運動」として全国に推し進めた。習近平の内陸部の改革開放政策には、こうした手法は取られていない。ゆえに内陸部の資本主義化は成功しているとは言えない。
習近平の経済政策(=資本主義化)が成功しない、もう一つの理由は、中国が毛沢東の文革時代の、集団化・全人民所有化政策を進めたため、中国社会では価値法則が貫徹しにくい経済構造となっていることである。それゆえ鄧小平は深圳などの沿岸部に外国企業を誘致して、輸出基地として改革開放を進めるほかなかった。つまり中国経済は場所貸し経済なのである。
鄧小平以後の幹部たちが、内陸部の市場経済化に失敗したのは、内陸部に産業都市を建設しても、誰も投資を行う資本を持っていなかったことである。そこで党幹部たちの親族に国有地の使用権を払い下げるという手法で、財政を確立し、主に不動産業で資本形成を行うことにしたのだが、これにより不動産業の成金がたくさん増え、金もうけの不動産投機が巻き起こり、習近平は立腹し、これを抑圧した。
中国では一部民間企業が成長したが、習近平は民間企業も抑圧を強めた。彼の支持基盤は鉄鋼や造船などの重化学工業や、解放軍兵器廠の国営企業幹部達であり、旧来の産業の国営企業を儲けさせるには、戦車や軍艦などの兵器生産の増強しかなかった。習近平の「強国路線」は、主要には国営企業の衰退を怖れたゆえであり、個人独裁を強化するには国営企業群の幹部たちの支持が必要であったからなのだ。
こうした経済的要請から、習近平の大中華民族主義に元づく「中国の夢」すなわち世界覇権を目指して、「一対一路」「中国製造2025」の経済・技術戦略が出てきている。ところが、この野心的覇権構想が、アメリカの一極支配への挑戦として、中国への先端技術からの隔離政策を導き出してしまった。
習近平には一極体制を強化するには、「反米」は中国においては挙国一致の万能薬で、ある意味好都合であった。しかし大中華民族主義がウイグル族や内モンゴルやチベットなどの少数民族への抑圧=同化政策であるので、人権問題として世界中の批判を集めることになった。
習近平にとって、好都合なことは、ウクライナのNATO加入の挑発に、ロシアが引っかかり、ウクライナ戦争が始まったことである。これで中東産油国がロシア・中国側に立ち、独自の経済圏構想を形成する条件が生まれたことである。つまりアメリカのユーロ経済圏の東への拡大を阻止するためのウクライナ戦争が、中国の覇権確立には好条件を作り出したことである。ロシアと中東と発展途上国が中国の傘下に加わり、戦略的地位は上がり、超大国としての軍事的力を蓄える、時間的余裕を獲得したのである。
しかし、習近平の困難は、中国の経済が外国企業の場所貸し経済であることだ。米中対立で、外国企業が部品供給網の不安から、中国での部品の生産を他国へ移し始めていることは、「強国路線」の経済面でのマイナスで、習近平には内需の拡大が経済的課題となるのだが、習近平政権には経済専門家がおらず、全人代でも地方政府の負債を増やして公共事業を行うほかの際立った政策は見られない。これでは、習近平政権の経済的破綻は明らかだ。
ゆえに、中国の周辺国は、習近平ファシスト政権の外への軍事的暴走に備えなければならないのである。
#習近平ファシスト政権
最高指導者の習近平に抜擢されたい、出世したいゴマすり官僚たちは、習近平の評価獲得のために仕事をし、自分の担当部署の成果を見せかけるなど、忖度・忠誠合戦が繰り広げられ,各種経済統計など主要経済統計さえ改ざんされる。それが県から州へ、州から中央へ上がるたびに起きるのである。それゆえ中国の経済統計は、ほとんど客観を反映しておらず、信用できないのである。
習近平「一強体制」の弊害が指摘されているのは、中国が官僚独裁の国であるからだ。日本でも企業内労組が監視の目を光らせていた時は、企業内の不正は少なかった。ところが労組が家畜化したあとは、製品の検査データ改ざんなど不正が万延し、パワハラ自殺が増え、企業の技術力が衰えている。これが日本の一流企業でさえそうなのであるから、官僚独裁の中国ではなおさら、政権内の反対勢力の存在が貴重となる。ところが習近平はすべての反対派を排除し、「お友達政権」にしたのであるから、その政権運営が正常に機能するわけがない。政策遂行の各段階で起きる様々な矛盾をうまく処理できるわけがない。
毛沢東の大躍進政策が失敗したのは、こうした官僚組織の弊害があったからで、それ以後の毛沢東は、一つの地域で実験的に実施し、成功すれば全面に波及する手法をとった。例えば自然を改造・開墾し、耕作地を拡大する実験は、大賽で実験的に実施してから、「大賽に学ぶ運動」として全国に推し進めた。習近平の内陸部の改革開放政策には、こうした手法は取られていない。ゆえに内陸部の資本主義化は成功しているとは言えない。
習近平の経済政策(=資本主義化)が成功しない、もう一つの理由は、中国が毛沢東の文革時代の、集団化・全人民所有化政策を進めたため、中国社会では価値法則が貫徹しにくい経済構造となっていることである。それゆえ鄧小平は深圳などの沿岸部に外国企業を誘致して、輸出基地として改革開放を進めるほかなかった。つまり中国経済は場所貸し経済なのである。
鄧小平以後の幹部たちが、内陸部の市場経済化に失敗したのは、内陸部に産業都市を建設しても、誰も投資を行う資本を持っていなかったことである。そこで党幹部たちの親族に国有地の使用権を払い下げるという手法で、財政を確立し、主に不動産業で資本形成を行うことにしたのだが、これにより不動産業の成金がたくさん増え、金もうけの不動産投機が巻き起こり、習近平は立腹し、これを抑圧した。
中国では一部民間企業が成長したが、習近平は民間企業も抑圧を強めた。彼の支持基盤は鉄鋼や造船などの重化学工業や、解放軍兵器廠の国営企業幹部達であり、旧来の産業の国営企業を儲けさせるには、戦車や軍艦などの兵器生産の増強しかなかった。習近平の「強国路線」は、主要には国営企業の衰退を怖れたゆえであり、個人独裁を強化するには国営企業群の幹部たちの支持が必要であったからなのだ。
こうした経済的要請から、習近平の大中華民族主義に元づく「中国の夢」すなわち世界覇権を目指して、「一対一路」「中国製造2025」の経済・技術戦略が出てきている。ところが、この野心的覇権構想が、アメリカの一極支配への挑戦として、中国への先端技術からの隔離政策を導き出してしまった。
習近平には一極体制を強化するには、「反米」は中国においては挙国一致の万能薬で、ある意味好都合であった。しかし大中華民族主義がウイグル族や内モンゴルやチベットなどの少数民族への抑圧=同化政策であるので、人権問題として世界中の批判を集めることになった。
習近平にとって、好都合なことは、ウクライナのNATO加入の挑発に、ロシアが引っかかり、ウクライナ戦争が始まったことである。これで中東産油国がロシア・中国側に立ち、独自の経済圏構想を形成する条件が生まれたことである。つまりアメリカのユーロ経済圏の東への拡大を阻止するためのウクライナ戦争が、中国の覇権確立には好条件を作り出したことである。ロシアと中東と発展途上国が中国の傘下に加わり、戦略的地位は上がり、超大国としての軍事的力を蓄える、時間的余裕を獲得したのである。
しかし、習近平の困難は、中国の経済が外国企業の場所貸し経済であることだ。米中対立で、外国企業が部品供給網の不安から、中国での部品の生産を他国へ移し始めていることは、「強国路線」の経済面でのマイナスで、習近平には内需の拡大が経済的課題となるのだが、習近平政権には経済専門家がおらず、全人代でも地方政府の負債を増やして公共事業を行うほかの際立った政策は見られない。これでは、習近平政権の経済的破綻は明らかだ。
ゆえに、中国の周辺国は、習近平ファシスト政権の外への軍事的暴走に備えなければならないのである。
#習近平ファシスト政権
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コメント
一強体制はもろい!
No title
独裁体制が社会主義であるわけがない。
ファシスト政権と規定することに賛成です。
自由と民主のない個人独裁に展望はないと思う。
習近平体制は早晩つぶれると思う。
ファシスト政権と規定することに賛成です。
自由と民主のない個人独裁に展望はないと思う。
習近平体制は早晩つぶれると思う。
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場所貸し経済ではアメリカに逆らえないのでは?
それでも強国路線を走れば、世界大戦もあり得ますね。
ドローン兵器は中国の方が進んでいるので自信があるのかも?