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迷走する習近平政権の経済政策!?

5日に開幕した中国の全国人民代表大会(全人代)では経済の回復を進める方針が示されたが、積極的な財政政策で財政赤字の対GDP比は3・0%とし、前年より0・2ポイント引き上げ、内需拡大に力を入れるという。しかし他方でアリババ、テンセントなどの大手民間企業への抑圧を強めている。「ゼロコロナ」政策で悪化した地方政府の財政改善を指示しながら、地方政府の特別債発行枠を過去最大に引き上げた。相矛盾した経済政策を打ちだしている点に、習近平政権の経済的無知と、混乱がうかがえる。

李克強首相は5日の政府活動報告で「景気の全般的な好転を促す」と訴えた。昨年、中国経済はゼロコロナ政策の打撃で急激に悪化し、政府は経済成長率は3・0%としているが、中国経済の経済指標は多くがでたらめで、実際にはマイナス成長である。しかもゼロコロナに反対する民衆の「白紙デモ」で習近平の退陣要求が出たことで、習近平が震え上がり、急きょ景気回復が習政権の最優先課題となったようだ。ゆえに無理に矛盾した政策を実施しているのである。

李克強は景気刺激と同時に「地方政府の債務リスクを防止、解消する」ことも指示した。ゼロコロナ政策下で大規模なPCR検査などの支出を余儀なくされ、財政状況が悪化した地方政府に債務残高の削減を求めた形だ。これは、地方政府の特別債発行枠を過去最大に引き上げた政策と明らかに矛盾する。

しかも中国政府は、「地方政府は住宅ローンの頭金要件を合理的に決定できる」として借入金で複数物件の購入を容認した。つまり不動産投機を容認したのである。しかも大手銀行に不動産業界への総額1兆元(約19兆5000億円)もの融資を命じた。地方政府の特別債発行枠を過去最大に引き上げた政策と合わせると、中国政府は不動産バブル容認政策に転じたのである。こうした政策転換は習近平政権が「白紙デモ」に震え上がったゆえとしか思われない。

今年2月の8日・15日、中国の武漢で医療手当削減に、人民が激高し大規模な抗議デモに発展した。これはゼロコロナに伴う、PCR検査に多額の費用が掛かり、地方財政が危機になり、これまで支給していた医療手当が数分の一に削減されたことで、起きたものであり、中国人民が「白紙デモ」で抗議行動に自信を持ち始めた表れでもある。中国の一人っ子政策は、一つの若い家族が4人の親の老後の生活を抱える事態となる。医療手当削減が、生活を破壊するほどの問題となる。

中国政府の「地方政府の債務リスク解消」とは、人民への赤字転嫁であり、これは一層階級矛盾を激化させる。しかし景気を良くすれば人民の不満は解消すると見て、景気刺激政策に転じたもので、習近平政権にすれば矛盾していないのかもしれない。

中国政府は党官僚の親族に、国有地を低価で払い下げ、不動産成金が多数出た、これが新富人と呼ばれる人たちである。農民から土地を取り上げるのが(中国では土地はすべて国有なので)容易であることが、内需拡大の政策が、住宅建設と産業都市の建設でとなったが、中国の内陸部にはそれを購入する資金を持つものがいない、ゆえに出来上がった産業都市は「新鬼城」といわれる廃墟となり、地方政府の赤字だけが膨れ上がることになった。

中国内陸部には今も自給自足の農村で4億人以上が住んでいる。これを資本主義の市場にするには、コメなどの価格維持政策で内需を拡大するしかない。これはアメリカのGHQがおこなった日本の戦後改革の手法であるが、習近平政権は中国を外国企業の輸出基地とする戦略をとったので、穀物の高価格維持で内需の市場拡大政策を執れなかった。都市部の賃金を上げることは、競争力を考えると農作物の高価格維持政策は取れない。つまり中国は臨海部と内陸部の経済格差が極限まで拡大している社会なのである。輸出基地に適さない内陸部は、出稼ぎ労働力の供給基地に過ぎないのである。今その出稼ぎ労働者の多くが失業している。

習近平政権の景気刺激策は、いわゆる不動産バブルを促す政策となる。これでは米中の経済摩擦で、先端産業が制限を受ける中で、地方政府に公共事業としての住宅建設でしか需要を拡大できない。ゆえに習近平の経済政策は失敗に終わるほかない。矛盾した政策をあえて行うところに追い詰められた政権の苦悩がある。何が追い詰めたのか?それは人民大衆の「白紙デモ」で習近平の退陣要求が出たことである。習近平は文革(=官僚政権の打倒運動)を死ぬほど恐れているのである。

習近平政権が軍事予算を増額して軍拡を進めているのは、経済政策の破たんで内部矛盾が激化すれば、台湾進攻で反米を煽ることで危機切り抜けることを考えているのである。中国官僚の思考で説明すると「内的矛盾を外的矛盾に転化する」ことに他ならない。習近平ファシスト政権が軍事的暴走に走る危険を指摘しなければならない。
#習近平ファシスト政権
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コメント

習近平は意外と弱気?

 独裁をやる人物は意外と小心なのでは?
  
  矛盾した政策を行うほど追い詰められているのですね。

   意外と弱いようですね。意外と早く失脚する可能性もありですね。

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