欧米の戦車供与は戦争の均衡状態が狙いか?!
冬将軍を味方につけたロシアが、ウクライナの東部戦線で優位に立ち始めた。ウクライナ軍東部方面の最激戦地である東部ドネツク州バフムト近郊の都市ソレダルを、ロシア国防軍やロシア民間軍事会社(PMC)「ワグネル」が奪い返したことが、欧米のウクライナへの戦車供与を促すことになった。
ロイター通信によると、ドイツによる「レオパルト2」主力戦車14両供与の決定を受け、ポーランドに続き北欧フィンランドとノルウェーも保有する同型戦車をウクライナに供与する方針を表明。スペインとオランダも供与を検討中としているほか、フランスも自国の「ルクレール」戦車を供与する可能性を排除していない。イギリスは既に主力戦車「チャレンジャー2」14両の供与を決定している。
バイデン米大統領は25日、ロシアの侵略を受けるウクライナに主力戦車「エイブラムス」31両を供与すると発表した。アメリカの戦車供与は欧州諸国に足並みをそろえたものである。
これを受けてウクライナのゼレンスキーは「より多くの防衛兵器が供与されるほどロシアの侵略は早く終わり、ウクライナや支援国は確実に安全になる」とし、米欧に長距離ミサイルや航空機に関しても供与を検討するよう要請した。
欧米のウクライナへの戦車供与は、ゼレンスキーの言うように、支援国が安全になるとは限らない。ロシア軍は核兵器の使用も辞さないことを表明しており、NATO諸国の戦車供与は、ロシア側が事実上の参戦と受け取る可能性がある。事実ウクライナ軍の主力はアメリカの軍事会社や欧州の傭兵であり、ウクライナ戦争は事実上の代理戦争化している。
国連は25日発表した報告書でロシアの2022年の実質国内総生産(GDP)成長率がマイナス3・5%となり、当初予想のマイナス10~15%ほど悪化しなかったと指摘した。これはロシアから中国やインド、トルコへの石油輸出が急増し、経済制裁の影響をカバーしたためと見られる。
つまり欧米のロシアへの経済制裁は効果を上げておらず、逆に制裁による欧州諸国の経済的打撃の方が大きいのである。ウクライナGDPはマイナス36・0%と落ち込み、ロシア軍のミサイル攻撃によるインフラ施設の破壊などが大きく影響した。したがってウクライナ戦争は長期化し、結果ウクライナの経済が疲弊していく。
ウクライナへの軍事支援でアメリカの兵器備蓄が低下し、中国による台湾侵攻とアメリカの軍事介入の可能性も高まる中、アメリカの防衛産業基盤は「現存する安全保障環境に十分備えていない」とする報告書を米シンクタンクがまとめた。米戦略国際問題研究所(CSIS)の台湾侵攻シミュレーションによると、アメリカ軍は5000発の長距離ミサイルを3週間で使用し、長距離対艦ミサイル(LRASM)の在庫は開始から1週間で枯渇すると予測した。
このままウクライナ戦争が継続すれば、戦争の拡大のリスクが高まることになる。中東産油国がロシア・中国側についたこともあり、このままでは戦略的・軍事的には中国が覇権の獲得で優位になりかねない。欧米はウクライナ戦争を朝鮮半島型の停戦ラインでの休戦を選択せざるを得ないであろう。供与する戦車の台数が少ないことを見ても、欧米の戦車供与は軍事的均衡状態を作ることに狙いがあると見た方がいい。
#ウクライナ戦争
ロイター通信によると、ドイツによる「レオパルト2」主力戦車14両供与の決定を受け、ポーランドに続き北欧フィンランドとノルウェーも保有する同型戦車をウクライナに供与する方針を表明。スペインとオランダも供与を検討中としているほか、フランスも自国の「ルクレール」戦車を供与する可能性を排除していない。イギリスは既に主力戦車「チャレンジャー2」14両の供与を決定している。
バイデン米大統領は25日、ロシアの侵略を受けるウクライナに主力戦車「エイブラムス」31両を供与すると発表した。アメリカの戦車供与は欧州諸国に足並みをそろえたものである。
これを受けてウクライナのゼレンスキーは「より多くの防衛兵器が供与されるほどロシアの侵略は早く終わり、ウクライナや支援国は確実に安全になる」とし、米欧に長距離ミサイルや航空機に関しても供与を検討するよう要請した。
欧米のウクライナへの戦車供与は、ゼレンスキーの言うように、支援国が安全になるとは限らない。ロシア軍は核兵器の使用も辞さないことを表明しており、NATO諸国の戦車供与は、ロシア側が事実上の参戦と受け取る可能性がある。事実ウクライナ軍の主力はアメリカの軍事会社や欧州の傭兵であり、ウクライナ戦争は事実上の代理戦争化している。
国連は25日発表した報告書でロシアの2022年の実質国内総生産(GDP)成長率がマイナス3・5%となり、当初予想のマイナス10~15%ほど悪化しなかったと指摘した。これはロシアから中国やインド、トルコへの石油輸出が急増し、経済制裁の影響をカバーしたためと見られる。
つまり欧米のロシアへの経済制裁は効果を上げておらず、逆に制裁による欧州諸国の経済的打撃の方が大きいのである。ウクライナGDPはマイナス36・0%と落ち込み、ロシア軍のミサイル攻撃によるインフラ施設の破壊などが大きく影響した。したがってウクライナ戦争は長期化し、結果ウクライナの経済が疲弊していく。
ウクライナへの軍事支援でアメリカの兵器備蓄が低下し、中国による台湾侵攻とアメリカの軍事介入の可能性も高まる中、アメリカの防衛産業基盤は「現存する安全保障環境に十分備えていない」とする報告書を米シンクタンクがまとめた。米戦略国際問題研究所(CSIS)の台湾侵攻シミュレーションによると、アメリカ軍は5000発の長距離ミサイルを3週間で使用し、長距離対艦ミサイル(LRASM)の在庫は開始から1週間で枯渇すると予測した。
このままウクライナ戦争が継続すれば、戦争の拡大のリスクが高まることになる。中東産油国がロシア・中国側についたこともあり、このままでは戦略的・軍事的には中国が覇権の獲得で優位になりかねない。欧米はウクライナ戦争を朝鮮半島型の停戦ラインでの休戦を選択せざるを得ないであろう。供与する戦車の台数が少ないことを見ても、欧米の戦車供与は軍事的均衡状態を作ることに狙いがあると見た方がいい。
#ウクライナ戦争
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コメント
早く戦争を終わらせるべきです
流れは戦争拡大の方へ進んでいるようで心配です。ロシアが不利になれば核兵器を使う可能性もありますし、武器を支援すれば戦争はエスカレートするように思う。
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