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欧米はロシア・中国外交でなぜ失敗したか?

欧州は格安なロシア産エネルギーの恩恵を受けて,ユーロ圏は経済的に発展した。特にドイツは海底パイプラインまで建設してロシアを自己の経済圏に取り込もうとした。アメリカも最初はこれを放任していた。

しかしユーロ圏の東への拡大に脅威を覚えたアメリカが,ウクライナの右派クーデターで、かいらい政権化させ、ウクライナのNATO加盟でロシアを挑発し、ロシアをウクライナに侵攻させ、EUとロシアの結び付きを分断した。アメリカのウクライナ戦争の隠れた経済的狙いは、ユーロ圏の拡大を阻止することであった。結果EUの東への経済圏拡大はとん挫した。

またアメリカは中国の改革開放政策をチャンスとばかり、中国を世界の工場にする政策を進め、中国経済は世界第2位にまで躍進した。アメリカはその結果自己の世界覇権への挑戦者を経済的軍事的に強化してしまったのである。

欧州もアメリカも、ロシアと中国が普通の資本主義国になると勘違いしていたのである。旧社会主義国が官僚独裁に変化し、それがやがて個人独裁のファシスト政権に成長するとは夢にも思っていなかったということだ。旧社会主義国は普通の資本主義国にはなりえないのである。この点に欧米の失敗がある。

ロシアは一党支配を解体しているので軍事機構ががたがただが、中国は一党支配のままなので、アメリカがロシアを中国の方に追いやったのは戦略的失敗といえる。アメリカはウクライナ戦争でロシアのプーチンを打倒することを狙っていたが、プーチン後の政権がより強硬なファシスト政権になる可能性が強いのである。

「中国はこのままではファシスト政権になる」と早くから見抜いていた人物がいた。毛沢東である。彼は中国が官僚独裁からファシスト政権になることは避けられないと見て、文化大革命を巻き起こし、官僚独裁政権の打倒を目的とした、大衆闘争の予行演習を行った。あの時は誰もが「文革」の意味を理解していなかった。毛沢東の死後文革派の幹部たちが「4人組」として打倒されたことも、毛沢東には分かったうえでの行動であったと思える。

社会主義国における集団化と全人民所有化という改革は、個人所有を基本とした普通の資本主義には戻らず、国有化された企業群は既得利益集団、すなわち党官僚たちの利権となり、またはロシアのように元官僚どもの既得利益集団のものとなり、やがて個人独裁のファシスト政権へと成長することは歴史の法則なのかもしれない。

現在の戦略上のアメリカの失点は、ロシア・中国の側に中東産油国が回り、OPECプラスロシアが世界のエネルギー支配の主導権を握ったことである。OPECプラスは今後原油取引を中国とは元で行うことになるので、アメリカのドル支配は崩れていくことになるであろう。アメリカが中東産油国への揺さぶりを行う可能性が高い。ありえるシナリオは王政の解体という社会改革の動きを巻き起こす可能性が高い。

つまり資本主義の不均等発展を基盤とした世界の多極化は、経済的ブロック化を促し、今後独裁連合と民主主義連合の2分化と対立が激化する可能性が強い。こうした戦略的変化が多極化の変化と重なり、コロナ禍と、インフレという危機が世界の矛盾を激化させている。世界は不確実で流動化した激動の時代へと移行しつつある。

日本は対米従属を続けると、アメリカと中国の世界覇権をめぐる戦争に巻き込まれる可能性が高まっている。対米自立が平和を守る唯一の道となるであろう。
#欧米の戦略的失敗
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コメント

日本はアメリカの先兵にされる

 確かにアメリカの戦争に巻き込まれそうです。自衛隊が敵基地攻撃のミサイルを500発持つそうですが、それはアメリカのトマホークミサイルです。一発が何億円もします。心配です。

No title

 多極化は、覇権争いが激化し、不安定な情勢になるというのはよくわかります。ロシアと中国が独裁的になるのは所有制が要因なのですか?難しくよくわかりません。

No title

 難しいですが、日本が自立しないとアメリカの使い捨てにされるのはわかります。

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