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対中国先端技術の隔離政策強化するアメリカ

バイデン米政権は週内にも中国半導体メーカーの長江存儲科技(YMTC)を含む30超の中国企業・団体を事実上の禁輸リストに加える。中国は世界貿易機関(WTO)に米国の先端半導体を巡る対中輸出規制が不当だと提訴したばかりで、半導体関連の米中対立が激しさを増している。

米ブルームバーグ通信などが14日、報じたところによると、米商務省は10月、米技術を使った半導体を軍事や兵器開発に転用する恐れがあるとし、YMTCなどを懸念先リストに指定した。一定の猶予期間を経ても懸念が消えない場合は輸出禁止リストに盛り込む措置で、米政府は改善がないと判断したようだ。

アメリカは今年10月、スーパーコンピューターなど先端技術の対中取引を幅広く制限する措置を発表した。半導体そのものだけでなく製造装置や設計ソフト、技術者も含めて規制した。特定の企業でなく中国全体に網をかけたもので、中国政府は世界貿易機関(WTO)に不当だと提訴した矢先の措置である。

アメリカの戦略的狙いは、習近平政権の「中国製造2025」計画を先端産業におけるアメリカへの挑戦と考えており、世界中から先端科学技術者1000人を中国に招き、雇用する計画を警戒し、今年10月にアメリカの半導体技術者の中国での労働を禁止している。このため中国産の半導体の不良率が40%に上っている。今回は中国半導体メーカーの長江存儲科技(YMTC)を含む30超の中国企業・団体を事実上の禁輸リストに加えたものである。

中国の改革開放政策を打ち出した鄧小平は「目立たないように静かに先端産業を育成する」政策を進めたが、習近平は公然と「強国路線」を打ち出し、覇権獲得を「中国の夢」として掲げ、アメリカの覇権に勇ましく挑戦した。それは「戦狼外交」と表現される戦略外交にも表れており、そうした野心への反撃として、今回のアメリカの先端技術からの隔離政策の強化となった。

特に、ロシアのウクライナへの侵攻とその戦況で、半導体が持つ先端誘導兵器の重要性から、アメリカは中国のドローン兵器への応用を警戒したものとみられている。アメリカは先進諸国の半導体生産が、戦乱が予想される台湾と韓国に依存している状況をみて、アメリカと日本が2ナノ半導体の共同開発・生産計画も進めている。この分野の産業の優劣が、戦争のゲームチェンジャーとなる精密誘導兵器開発と量産を左右するからである。

つまりアメリカは、近く中国軍の台湾進攻がありうると見て、精密誘導兵器での主導権確保のため先端産業戦略を進めているのである。つまり米中の経済摩擦は、先端技術産業面における米中の覇権争いなのである。この面での米中の争いは資本主義の不均等発展の結果であり、世界の多極化は誰かが計画して進めているものではない。

資本主義の不均等な発展がアメリカの相対的な経済覇権を脅かし始めたのである。かってアメリカは日本の企業が半導体生産でトップのシェアーを占めたとき、技術特許を口実に日本の半導体産業を撤退に追い込んだ先例がある。中国は鄧小平の目立たないやり方を踏襲すべきであった。習近平ファシスト政権は公然と「強国路線」を推し進めて覇権国アメリカの怒りを買うことになった。政治が経済対立の延長であり、戦争が政治対立の延長なので、アメリカと中国の覇権をめぐる対立は今後激化していくことは避けられない。
#米中先端産業めぐる対立
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コメント

No title

戦争まで行く可能性があるのですか?

 日本は増税ではまだまだ経済が縮小します。

 困ったことですね。

台湾侵攻の条件

 中国の習近平政権の経済戦略がアメリカの先端技術隔離政策で破たんしつつあります。「中国製造2025計画」は破綻すると見られ、中国政府は、これに代わる経済戦略を見出していないようです。
 習近平は政敵の経済基盤をたたく政策を執ったため先端産業などに打撃を与えてしまってもいます。ゆえに今後の中国経済は深刻化すると見られます。
一人っ子政策の影響で高齢化が進み、労働力不足も顕著になってきます。
中国経済が深刻化し、内部矛盾が激化した場合、習近平は台湾進攻を行う可能性は高いと見られます。

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