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国際政治の擬態を読み解く事が重要だ!

国際政治が「複雑怪奇」と言われるのは、戦略的失敗を犯した国が、それを隠すためにあたかも攻撃をするかのように装い、経済制裁を行い、外交で強硬姿勢を取る場合があるからだ。

あたかも中東ではアメリカとイスラエルが攻勢に出ているかのように見える。しかし現象はもちろん本質ではない。
政治の世界では情勢を客観的に見ることが重要で、政治的擬態を読み解く事ができないと「複雑怪奇」などと言うことになる。

アメリカはイラクとアフガンを侵略し、イラクの石油権益を手に入れたが、イラクにシーアー派政権を作ったことと、アフガン占領後の治安維持はいずれも失敗した。アメリカはこの戦争で財政的に疲弊し、今後10年は軍事費の大幅な削減を行うこととなった。つまりアメリカは戦争路線から「息継ぎの和平」に戦略転換したのである。

一方「アラブの春」とよばれる人民大衆の民主化闘争でエジプトのムバラク政権が倒れたのはアメリカとイスラエルには大打撃で、イスラエルの安全保障は危機に直面することとなった。今後アメリカがイスラエルの安全を保障できるかが、ユダヤロビーの支持をつなぎ止めることがオバマ再選の課題となった。

そこでアメリカは外交的擬態として、イランの核開発を阻止するためと称し経済制裁を行い、イスラエルのイランへの空爆の可能性を強調することとなった。さらにアメリカはムバラク政権時代からのエジプトへの軍事援助を13会計年度も継続することとなった。エジプト軍をアメリカは援助でつなぎとめるつもりなのだ。アメリカの軍事援助のトップはイスラエルで31億ドル、2位がエジプトの13億ドルである。

つまり中東の主導権がアメリカの戦略転換で、イランを中心とした反イスラエルの側に有利になっているのである。
こうした不利を挽回するためにイランの同盟国のシリアの反政府勢力(主としてスンニ派と過激派)を使い内戦状態にし、イランの援助がハマスやヒズボラなどのゲリラ勢力に流れるのを阻止する戦略なのである。

国際政治では強腰の姿勢が、実は弱さの表れである場合が多いのである。以上の分析から言えることはイスラエルのイラン空爆はリスクが大きすぎ、シリアへの軍事介入も混乱を拡大するので内戦が続く程度に抑えるであろうということである。イランを追いつめホルムズ海峡の封鎖を招くことはアメリカの意思ではないのである。
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テーマ : 軍事・安全保障・国防・戦争 - ジャンル : 政治・経済

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