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NATO拡大が招く欧州戦争の火種拡大

北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は28日、スウェーデンとフィンランドのNATOへの加盟が認められる見通しとなったと発表した。両国の加盟に難色を示していたトルコのエルドアン大統領が同日、スウェーデンのアンデション首相とフィンランドのニーニスト大統領とマドリードで会談。トルコの懸念に両国が対応することを記した覚書を交わしたことで、加盟を容認した。

同覚書には、トルコで分離独立を目指す非合法武装組織「クルディスタン労働者党」(PKK)と関連組織の活動阻止や、2016年のクーデター未遂事件でトルコが「黒幕」だと非難するイスラム教指導者ギュレン師の勢力を支援しないことなどが盛り込まれた。

北大西洋条約機構(NATO)が北欧のフィンランドとスウェーデンの加盟で合意したことについて、ロシアのプーチン大統領は29日、「軍事施設を設けた場合、相応の対抗措置を取る必要がある」と牽制した。NATOについても、「(ウクライナの極右によるクーデター)2014年以降、我々に対し、何らかの行為をしようとしていた」と指摘。「アメリカは同盟国の結束のために外敵が必要だった」と話した。

アメリカは世界覇権を延命するために反ロシアで欧州の分断に成功したが、これは世界市場の分断を招き、結果アメリカが覇権を失い世界の多極化を促すことになる。アメリカは軍需産業の国であるので、欧州に戦争の火種が拡大することは戦略的利益になるのだが、しかし、それがアメリカの覇権喪失に繋がるのであるから皮肉というしかない。

バイデン政権のアジア重視は口先だけであり、実際にはアメリカが重視しているのは経済統合で独自の通貨ユーロを持つ欧州なのである。ユーロ経済圏の拡大は、アメリカのドル支配を弱めるので、ウクライナのクーデターとNATO加盟のロシアへの軍事挑発を通じて、アメリカはEUの東への拡大を阻止した。

今回のフィンランドとスウェーデンのNATO加盟は、欧州における新たな戦争の布石としての意味を持つであろう。歴史が示しているのは欧州における2度の世界大戦がアメリカの覇権を固めることになった。アメリカは自国が戦場にならない形で兵器売却の巨大市場化に成功したといえる。しかし二度あることが三度目の利益になるかはわからない。

問題はアメリカのこの欧州戦略が、世界第2位の経済規模を持つに至った覇権主義の中国との争いに、どのような戦略的効果を持つのか?という点である。また世界の分割が欧米経済にどのような作用を与えるのか、EUとの関係を深めつつあったロシアを、中国の側に追いやったことで、戦略的に中国・ロシア連合の方が優位になった。なりよりも中東が非米路線を鮮明にし、原油の増産を拒否したことで、対ロシア経済制裁が資源価格の高騰を招き、欧米側の経済的打撃が大きいことが分かり、ロシアの原油輸出禁止を撤回し、価格の上限規制に切り替える動きは、欧米側の経済制裁の失敗を示している。

日本にとっての戦略的変化は、欧州におけるNATOの拡大強化は、アジアにおいては中国・ロシア・インド・インドネシア連合の方が戦略的優位を確立した。日本は核保有国の三正面に敵を持つに至ったことである。アメリカのNATO拡大は欧州に戦争の火種を作ることはできたが、戦略的には経済成長著しいアジアで、アメリカが戦略的遅れをとることになったことは、バイデン外交の失敗を示している。アメリカの野党共和党で、バイデンをチェンバレンのファシスト勢力への融和外交と同じだ、との批判が今後さらに高まるであろう。
#NATO拡大の戦略的意味
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コメント

バイデンは失敗ですか?

 欧州を分断したのはバイデンの成功ですが、アジアは確かに日本、台湾は窮地ですね。アメリカは守ってくれるかはわからないと思います。
ウクライナは見殺しのように見えます。

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