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窮地に立つジェレンスキー大統領

フランスのマクロン大統領は15日、「時が来たら、ウクライナの大統領はロシアと交渉せねばならない」と述べ、平和解決に向けた対話の必要性を主張した。訪問先のルーマニアで行った記者会見で述べた。マクロン氏はロシアとウクライナ、欧州が同じ大陸にあると強調。「『ロシア人と戦争し、完敗させるべきだ』との意見にはくみしない」と述べ、対露強硬策を主張するポーランドやバルト諸国と距離を置いた。

ドイツ政府がウクライナに支援を約束していた重火器の兵器が、一台もウクライナ側に引き渡されていないのも、ドイツがウクライナの勝利を望んでいないことを示している。ロシア政府はパイプラインでドイツに送る天然ガスを削減して、ドイツに圧力を加えておりドイツ政府はウクライナへの武器支援ができない事態となっている。

北欧2国のNATO加盟にはトルコを含む全加盟国の承認が必要だが、トルコは2国がトルコの非合法組織クルド労働者党(PKK)を支援していると抗議し、加盟に反対している。トルコ政府はスウェーデンとフィンランドにクルド支援撤回とトルコの懸念に対する具体的な措置を文書で示すよう求めていた。

15日、トルコのチャブシオール外相は、北大西洋条約機構(NATO)に加盟申請した北欧スウェーデンとフィンランドから、トルコが示す懸念への対応策を文書で受け取ったと明らかにした。その上で「期待にはほど遠い」と指摘し、加盟反対の立場を変えなかった。つまりアメリカのNATO拡大の戦略もうまくいっていないのである。

欧州がウクライナ戦争の停戦を模索し始めたこと、アメリカもキッシンジャーが領土割譲による停戦を呼びかけ、ロシアを中国の側に依存させない戦略的配慮を行い始めたことは、ウクライナのジェレンスキー大統領が軍事援助の削減で停戦を余儀なくされる事態が近づいていると見るべきであろう。

ジェレンスキー大統領は領土割譲を受け入れると民族の裏切者となり、ロシアをNATO加盟申請で挑発したこと、バイデンが「ジェレンスキー大統領が侵攻前に、忠告を受け入れなかった」と発言したことで、窮地に陥っている。ジェレンスキーは「亡国の徒」と批判される瀬戸際にある。大統領の地位が危ういのはプーチンの方ではなく、むしろジェレンスキーの方が危ういと見るべきであろう。

アメリカはウクライナ政府に対艦ミサイルハープーンを支援することで黒海の制海権をウクライナ側に握らせることで、穀物の輸出を行えるようにしようとし、ロシア側は新たに原子力潜水艦を黒海に配備したので、ウクライナ戦争は黒海の制海権の争奪に局面が移り始めた。

ロシア側は欧米の経済制裁後も外貨収入は増大しており、経済制裁で打撃を受けているのはロシアよりもむしろ欧州の方が打撃が大きいことが明らかになってきた。このままウクライナ戦争が長期化すれば、ロシアの中国依存が深まり、覇権争奪でアメリカより中国の方が優位に立ちかねない事態となっている。

ウクライナ戦争の長期化で、中国の享受する戦略的利益は非常に大きい。最近ロシアと中国が相互支援を軍事面にまで拡大する協定を結んだので、欧米側はウクライナ戦争の早期停戦を選択せざるを得ない局面が生まれている。ジェレンスキー大統領が停戦を拒否し続けても、軍事支援が削減されれば戦争継続は難しくなる。ウクライナ戦争は終局が近いのである。ジェレンスキー大統領が戦争を続ければ、ウクライナが廃墟になるだけであり、彼が戦略関係から事態を見ることができれば早期停戦を選択するであろう。
#ウクライナ戦争
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コメント

戦争は収め方が難しいです

 ウクライナは武器を援助に頼っているのが弱さです。
 欧州には欧州の都合があり、アメリカにはアメリカの都合があるので、停戦を求められたら、ジェレンスキーはピンチですね。
 兵器生産は自国で行う体制が日本も必要です。

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