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ウクライナ戦争と世界の多極化の関係について!

バイデン大統領はウクライナ戦争を「民主主義と権威主義との闘い」と位置づけている。しかしこれは一面的な見方であり、アメリカの覇権の回復という側面から見なければ本質が見えてこない。

現在の世界の多極化は①アメリカ(ドル)②欧州連合(ユーロ)③ロシア(ルーブル)④中国(元)の4つの勢力が構成している。このうち欧州がロシアから資源を買い、対価で工業製品をロシアに売り、ユーロ圏がロシア経済圏を飲み込み、さらには中国の一対一路でユーラシア経済圏が出来つつあることは、アメリカの一極支配を突き崩すものであり、アメリカはこれを打破する必要があった。

アメリカは、ウクライナでクーデターを仕掛け、親ロシア政権を打倒し、かいらい政権をつくり、NATO加盟でロシアを挑発した。ウクライナの地政学的位置は、アメリカにおけるキューバに等しく、ロシアが座視することはあり得ないことであった。

つまりウクライナ戦争は、アメリカが、欧州経済圏の拡大を阻止し、アメリカの覇権を維持・回復し、NATOの存在意義を回復する戦略的狙いがあった。欧州のフランスとドイツがウクライナに停戦を呼び掛けているのは、欧州の経済戦略が戦争が長引くことで破たんするのを怖れているのである。

アメリカのキッシンジャーなどが、ウクライナに領土の割譲で停戦を呼び掛けているのは、ウクライナ戦争が長引けば、ロシアを疲弊させ中国に依存させることで、中国が戦略的に優位となり、アメリカの覇権が脅かされるからに他ならない。バイデンが初めはプーチン政権の打倒を主張していたのに、最近になってプーチン政権を打倒しないことに修正したのも、中国の側にロシアを接近させすぎない配慮からなのである。

ただしバイデン政権は秋の中間選挙までは戦争が続いた方が選挙に有利になるので、当面は戦争継続のための軍事援助を行っている。これはすぐにでも停戦させたい欧州とアメリカの矛盾である。アメリカは多極化しつつある世界にあって①アメリカ(ドル)②欧州連合(ユーロ)③ロシア(ルーブル)④中国(元)の4つの勢力が分立している限り、ドルの世界通貨の地位は揺るがない。しかしアメリカ以外の3極が経済的結びつきを強めるのはつぶさなければいけないのである。

ゆえにアメリカは、欧州とロシアの間に壁を作り、ロシアを中国側に接近させすぎてもまずいという判断なのである。つまり資本主義の不均等発展の法則で世界が多極化するのはしかたない(=阻止できない)が、アメリカ以外の勢力が結託するのは阻止する、というのがアメリカの世界経済における主導権維持の戦略なのである。アメリカの中国への先端技術の分野での隔離政策もこうした意図からとっている戦略なのである。

つまり世界の多極化は、誰かが意図して多極化しているのではなく、資本主義の不均等発展の法則の結果であり、阻止することはできないので、アメリカは多極化した中で覇権の維持・延命を画策しているのである。それゆえウクライナへの武器支援でウクライナが勝ちすぎても困るので、キッシンジャーがウクライナ政府に、ロシアへの領土割譲で停戦を呼びかけたのである。

しかし、ウクライナのゼレンスキー政権は領土割譲を受け入れると民族の裏切り者になるので受け入れられない。戦局の焦点は、ロシアが東部2州を占領した段階で新しい国名をつけて独立させ、一方的に停戦を宣言したときに、アメリカと欧州がウクライナに停戦を働きかけ、武器支援を停止する可能性がある。誰も戦争の継続を望んではいないのである。その時ゼレンスキー政権は敗北的和平を受け入れるほかないであろう。
#ウクライナ戦争と世界の多極化
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コメント

多極化の中

 アメリカは覇権を維持しようとしている、というのは納得です。
  アメリカはイラクとアフガンで犠牲が多く、戦争できないほどだそうですね。日本は自立すべきです。

No title

 ロシアの戦争であると同時にバイデン尾戦争でもあるのですね。
 ウクライナは災難ですね。

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