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北朝鮮のICBМ発射実験とその国際的意味

北朝鮮の朝鮮中央通信は25日、金正恩(キム・ジョンウン)総書記が23日に新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」の発射を命令したと伝えた。北朝鮮の最高指導者金正恩は「強大な軍事技術力を持ち、アメリカ帝国主義との長期的対決を徹底的に準備していく」と強弁した。ウクライナ支援で手いっぱいのアメリカの弱みを突いているのである。

林芳正外相は24日夜、北朝鮮による日本近海への弾道ミサイル発射を受け、ブリンケン米国務長官と電話で話し合い「国際社会への明白かつ深刻な挑戦だ」との認識で一致した、と明らかにした。

ロシアのウクライナ侵攻と西側の経済制裁で世界が分断しつつあり、米欧対中露の対立が深まる中なかで、北朝鮮が大陸間弾道弾開発のチャンスと判断したことは疑いないことである。注目すべきは、中国政府がこの北朝鮮のICBМ発射実験を批判しなかったことである。

中国の報道官は「朝鮮半島問題の政治解決のプロセスを進めるため、ともに尽力するよう希望する」と求めたが、2017年のICBМ発射実験の時は「深刻な懸念と反対」を表明したのとは対照的で、明らかに北朝鮮の大陸間弾道ミサイル保有を、中国の戦略的手駒と認識していると見た方がいい。

世界が二つに分断しつつある中で、アジアにおけるその波及の特徴的は、ウクライナ支持を表明したのが日本・韓国・シンガポールの3国だけで、多くのアジア諸国が中立の立場であることが特徴的である。アジアにおいてはどこもが3正面に敵を迎えることになり、態度表明に慎重になっている。インド政府ですら国連のロシア批判の決議に棄権した。

3正面の敵がすべて核保有国である点が、アジアにおける中国・ロシア・イラン・北朝鮮連合を戦略的優位にしていると見た方がいい。核兵器は保有していない国には使える兵器なのである。また世界のエネルギー戦略で見ると中国・ロシア連合の方がアラブ連合を引き付けているので、はるかに有利だ。

北朝鮮と同様に世界の反米独裁国家が次々と中国・ロシア連合に接近するであろう。中国がアフガニスタンに接近し、同国への投資を行うことを表明したのが特長的だ。世界の2分割を招いたのは、アメリカの画策によるウクライナのNATO加盟表明であり、ロシアへの挑発だった。バイデンの戦略観点の無さがアメリカの戦略的後退を招き、多極化、あるいは新たな冷戦を形成しつつある。中国の戦略的利益は正に「棚からぼた餅」なのである。
#北朝鮮のICBМ実験
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コメント

アジアは民主派が劣勢です

 独裁政権が威張る時代ですね。
  アジアはたしかに民主派が不利ですね。
   アメリカはどもまで頼りにできるか???疑問です。
    日本は防衛力強化を急ぐべきです。それと自立・中立です。

北朝鮮に舐められた米

 アフガニスタン、ウクライナと同盟国を見捨てたアメリカは、金正恩にも舐められている。国連決議違反の大陸間弾道弾の開発さえ何もできない。
 「かまってミサイル」ではあっても、核さえ保持すればアメリカでも手が出せない、となればあらゆる国が核開発に乗り出すだろう。

 反米の国はチャンスと見ている

 ウクライナ戦争で戦略的に打撃を受けるのはロシアだけでなく、アメリカの方が打撃が大きいのでは?
 通貨の多極化でドル支配が崩壊に向かう可能性があります。アジア・アフリカ諸国はロシア・中国寄りか、もしくは中立です。世界を分割して新冷戦となり、市場の分割で大不況が来るのではと心配しています。

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