fc2ブログ

国際通貨の多極化招いた制裁は米の失敗!

アフガニスタンへのロシア軍の侵攻に伴う、アメリカ・欧州などの経済制裁で、ロシアの外貨の約半分が凍結された。これはアメリカとの覇権争いの相手国中国にとっては、戦略的優位であり、同時に貿易のドル建て取引の危険性を強く認識させた。

米紙ウォールストリート・ジャーナル電子版は15日、サウジアラビアと中国が人民元建ての石油売買を交渉していると報じた。石油取引は現在は米ドル建てが支配的で、人民元建てが実現すればドルの国際的影響力が低下し、人民元の存在感が増し、この面での多極化が現実のものとなる。

報道によると、サウジはこれまでドル建てのみで石油取引をしてきたが、アフガニスタンからの米軍撤退やイラン核合意などを巡ってアメリカの対応に不満を募らせていることを背景に、中国との交渉を最近加速させた。中国は世界覇権を展望して強国路線を進めており、「人民元の国際化」を目標に掲げ、国際通貨としての地位向上を図っている。サウジ産石油の人民元建ての購入交渉もその一環とみられる。アラブ連盟と産油国のアメリカ離れは、世界経済からのロシアはずしと重なって世界の多極化が急速に進むこととなった。

アメリカはウクライナのNATO加盟表明でロシアを挑発し、ロシアを軍事的冒険に引きづりこむことに成功した。しかし歴史が教えているのは、戦術的成功が戦略的には重大な失敗である実例が非常に多いのである。欧州への新たな冷戦ラインを引き、ユーロやロシア経済に打撃を与え、NATOを延命できたとしても、ロシアのプーチン政権を中国の側に追いやり、経済制裁はむしろ欧米日の側に打撃となる。とりわけ国際通貨ドルの地位は弱体化し、通貨面でも多極化が進行することは避けられない。ドル圏・ユーロ圏・元圏と国際通貨のブロック化は、同時にドル支配の崩壊なのである。

戦略的に見れば、アメリカの覇権は中国の挑戦を受けているのであるから、アメリカはロシアと中国の間を分断するべきであった。ところがバイデン大統領は、副大大統領時代からウクライナを利権としてきたがために、ロシアを中国側に追いやる戦略的ミスを犯したのである。バイデンはロシアのプーチン政権を打倒した後で、中国を各個に撃破する作戦であったのだろうが、中国は全力でロシアを支えれば、覇権戦略でアメリカに優位に立つことができる。

アメリカが覇権を維持するためには、同盟国を大事に扱うべきであった。アフガニスタン政権を見捨て、ウクライナ政権を捨て駒とし、中東諸国をないがしろにして、バイデンはトランプとは別のやり方で孤立主義の道を歩いているように見える。アメリカが失った同盟国の信頼は、簡単には回復できそうもない。
#世界の多極化進めた経済制裁
スポンサーサイト



コメント

ドル支配が終わりか?

 戦術がうまくいっても、戦略が成功するとは限らない、という見解になるほどと思いました。ドル支配も終わりが来つつあるという事ですね。

アメリカは弱体化する

 戦略が理解できないバイデンではだめだ。

コメントの投稿

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

SEO対策:政治