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中国外交戦略の破たんとウクライナ戦争!

中国の「一帯一路」構想の具体化である「真珠の首飾り」と呼ばれる戦略が破たんの危機にある。スリランカは中国に多額の借金をして国際空港と港を作った。工事費は港が17億ドル、空港が2億ドルで、「一帯一路」構想のモデル事業と言われていた。

国際空港や港湾建設は、近くに工業地帯や大都市がなければ、建設しても経済効果はない。スリランカの空港はコロンボから250キロも離れているため「世界一空っぽの空港」(米経済紙ホーブス)となり、港も役立たずで、中国企業「招商局港口」に99年間リースされることになった。これは前世紀のイギリス帝国主義の香港租借となんら変わらない。スリランカは中国政府の「債務の罠」にかかり、国民は窮乏生活を強いられることとなった。

同じような港を作った国がある。それはパキスタンである。中国の新彊ウイグル自治区からパキスタンのグワダル港まで3000キロを高速道路で結ぶ「中国パキスタン経済回廊」を建設する構想である。この計画は600億ドルもの費用が掛かるが、工事自体が第一期工事で進まなくなっている。港は一部完成しているが、周辺には何もなく、役に立たない港となっている。もともと中国国内からインド洋への出口が欲しくて立てた計画なので、パキスタンの経済成長とは関係がないので失敗した。

スリランカもパキスタンも計画自体が中国の都合で建てられたものであり、両国の経済成長に役立つ計画ではなかったことから失敗が避けられないものであった。パキスタン一国で600億ドルもの建設資金を都合できるはずもなかった。

このように中国の外交戦略「一帯一路」が破綻している中で、トランプ政権時にアメリカとの覇権争いと先端産業をめぐる対立が起きた。そこで中国政府はアメリカからの世界最大の農産物輸入を削減する計画を立てた。すなわち「食糧自給戦略」である。これは将来アメリカに封鎖された時のことを考えて建てたのである。習近平は中国が経済GDPでアメリカを抜き、将来アメリカの封鎖を受けても生き残る戦略として作られたのが「食糧自給戦略」である。しかしこれも中国北部の水不足と南部の洪水被害でうまくいっていないのである。

中国政府は農産物を主にアメリカとウクライナから買っている。ウクライナは親米国であるので、今回のロシアのウクライナ侵攻は、中国の食料安全保障上願ってもないことで、ウクライナからスエズ運河とボラポラス海峡を通らずに穀物を「中欧班列」と呼ばれる鉄道で中国国内に直接運ぶことができる。

中国人は長い歴史の中で、食料があるうちは人民は反乱を起こさないことを知っている。食料の確保という点でロシアがウクライナの穀倉地帯を占領することは、中国の習近平政権には非常に大きな戦略的価値がある。ロシアとウクライナで世界の穀物の3割が生産されている。ウクライナをロシアが占領することは中国には大きな戦略的価値がある。もちろんNATOとロシアの新冷戦は、「一帯一路」にとって大きな打撃なのであるが、中国の食料戦略にはロシアのウクライナ占領は大きな価値がある。

この点が、ウクライナ戦争が中国に戦略的な「漁夫の利」をもたらす意味である。アメリカが仕掛けたロシアのウクライナ侵攻が、いかに戦略的愚策かが分かるであろう。
# 一帯一路 #中国食糧戦略
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コメント

中国は有利になった

 習近平は笑いが止まらないな。

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