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米とEU・ウクライナでロシア軍侵攻で認識に格差!

 ウクライナは、91年の独立以降、大統領選では親ロ派と親欧米派が対立してきた。アメリカ政府の画策で、14年にクーデターで親ロ政権が崩壊し、親欧米派のポロシェンコ政権が発足。19年にゼレンスキー政権が誕生。ロシアは親欧米路線をとる同政権を親ロシアに戻そうとしており、プーチン大統領はウクライナ人とロシア人が「ひとつの民族だ」と述べたように旧ソ連圏は自国の勢力圏と考えている。ゼレンスキー大統領は北大西洋条約機構(NATO)加盟への意欲を公言し、ロシアとの対立は深刻化している。

 このウクライナをめぐり、ロシア軍の侵攻が近いとするアメリカと、「そうした状況にはない」とするEU・ウクライナとの認識の格差が表面化している。それは以下の諸点に表れている。
(1) ロシア軍のウクライナ侵攻が近いとする、アメリカ防総省のカービー報道官は25日、東欧諸国への派遣に備える米兵について最大8500人から拡大する可能性に言及した。国防総省は24日、北大西洋条約機構(NATO)が多国籍の即応部隊を東欧の加盟国に派遣すると決めれば、米国から最大8500人が参加すると明らかにしていた。
 またアメリカ政府は、大使館職員の家族にウクライナから退避するよう命じた。

(2) 欧州連合(EU)は24日に開いた外相理事会にアメリカのブリンケン国務長官を招き、ウクライナ国境で軍備を増強するロシアへの対処方針を議論した。米国が一部の在ウクライナ大使館員の自主退避を認めたのに対し、EUとしては、そうした状況にはないという点で一致した。ロシアの軍事侵攻への危機感について認識の違いが表面化した。

 (3)報道によると、ウクライナがロシアによる早期の軍事侵攻の可能性を躍起になって否定している。ウクライナのレズニコフ国防相は「(ロシア軍は攻撃の可能性を示すような)攻撃部隊を編成していない」と語っている。ウクライナに対するロシア軍侵攻が間近に迫っているとの見方は主にアメリカ政府が示しているが、ウクライナのゼレンスキー大統領や国防相らが真っ向から否定し、後ろ盾であるアメリカとの足並みが乱れている。
 アメリカ政府はロシア軍がウクライナに侵攻すれば経済制裁を強化することを表明している。ロシアは世界の天然ガス生産の17%を占め、欧州は消費量の3割をロシアに依存する。アメリカメディアによると、ウクライナを通るパイプラインを経由して欧州に流れる量はそのうちの3分の1に達する。アメリカ政府高官は「このルートの供給をすでに半減させており、途絶えれば欧州に深刻な影響が出る」と話した。米欧が資源大国であるロシアへの経済制裁強化に踏み切れば、影響は世界経済に及ぶのは確実だ。ゆえに金融市場には動揺が広がり、株価は下がった。

 ロシア軍のウクライナ侵攻をめぐるこうした認識の相違は、アメリカ政府が欧州に新たな反ロシアの冷戦ラインを作りたがっていることの表れであり、欧州とウクライナはユーロ経済圏の旧ソ連圏への拡大を目指しており、NATOの必要性はなくなりつつある。それゆえアメリカの反ロシアの冷戦ライン構築には組したくないのである。

 アメリカ政府は、対中国の覇権争いに集中しなければならないが、その間に欧州共通通貨のユーロ経済圏が旧ソ連圏に拡大すれば、ドル支配が揺らぐと考えているのである。つまり世界の多極化の中で、アメリカはNATOを維持し、そのために反ロシアの冷戦構造を必要としていると見ていい。こうしてウクライナをめぐるアメリカと欧州の認識の格差が生まれているのである。

 日本にとって重要なことは、バイデン政権がロシアを中国側に追いやる外交をとっていることだ。これは日本にとっては2正面に敵を迎えることになる。バイデン外交では中国だけが「漁夫の利」を得ることになる。バイデンが世界戦略を理解していないことは明らかだ。
#ウクライナ問題
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コメント

なるほど

 バイデンは欧州重視なのですね。
  日本の二正面はダメですよ。
    アメリカは自分の利益しか考えていないな!

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