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習近平の「国情に合った人権」論の狙い!

 中国の習近平(シーチンピン)国家主席は8日、発展途上国を招いて北京で開いた「人権フォーラム」に祝電を寄せ、「中国共産党は常に人権を尊重、保障してきた」と強弁した。
 ウイグル族への民族浄化など中国の人権問題は、アメリカ・オーストラリア・カナダ・イギリスなどの諸国による冬季五輪の「外交ボイコット」に発展している。その中で開いたフォーラムに習近平はメッセージを寄せ、「各国人民は自ら選び、国情に合った人権発展の道を歩むべきだ」と主張。人権面でも米欧の基準が絶対ではないとの姿勢を示した。また、フォーラムで演説した黄坤明・共産党中央宣伝部長は「人民の幸福な生活を守ることが最大の人権だ」とも強調した。

 中国政府が香港を統括する香港マカオ事務弁公室の夏宝竜主任は6日、オンライン方式で演説し、「香港は過去に西側の民主主義を追求したことで、社会の悪化を招いた」と語った。香港では19日に民主派を実質的に排除した立法会(議会)選挙が予定されているが、中国による「愛国統治」と称する独裁を「社会の悪化」で正当化している。夏氏は習近平(シーチンピン)国家主席に近いとされ、浙江省トップも務めた。これまでも香港国家安全維持法(国安法)のもとでの統治方針などを示してきた。

 香港は今年、行政長官や立法会議員の選挙に関し、中国共産党の統治に批判的な民主派を立候補できなくする選挙制度に変更した。これについて、夏は「香港がどんな選挙制度を採り入れようと、中国の内政であり、外国勢力が干渉する権利はない」と主張。米欧を「彼らは民主の優等生ではないし、ましてや教師でもない」と述べ、中国の実情に根ざした民主主義、すなわち独裁に自信があると強弁した。

 以上のような、習近平とその側近たちの「国情に合った人権」論は、習近平個人独裁を民主主義であり、人権であるとする詭弁に近い主張である。習近平は中国のウイグルやチベット族もモンゴル族も漢民族と同じ中華民族だと語ったことがあり、ウイグル族への民族同化政策も人権を尊重したもので、国情に合った人権尊重だというのがその趣旨である。

 習近平はイギリスとの香港返還交渉に当たり「一国2制度」を長期に維持する約束をしていた。彼の「国情に合った人権」論はこの「一国2制度」を放棄したことを正当化しようとして持ち出したものである。中国は一党独裁の社会主義を名目にしつつ資本主義化を進めている。中国経済の、独裁は強権的低賃金政策により貿易面での一人勝ちを実現した。彼はこの優位性を今後も堅持するために中国式の「国情に合った人権」論を持ち出したのである。

 習近平が理解していないのは、自由と民主がない社会、すなわち私的所有でない(国営企業優位)の個人独裁の社会では資本主義の価値法則は貫徹せず、資本主義経済は発展しないということである。権力的価値規定は貿易では優位性を発揮しても、「双循環政策」いわゆる内需主導の経済は発展しないということだ。資本主義は国内の移動の自由、民主と自由・人権などがなければ経済成長できないのである。国内で計画経済、外国との貿易は権力的価値規定で優位性を保持するという、習近平の身勝手な政策を、自由経済を基本とするアメリカなどが認めるわけがない。

 このような中国式の「国情に合った人権」論では、欧米との相互依存経済は成り立たない。国内市場は計画経済で囲い込み、貿易では低賃金政策で一人勝ちという身勝手な政策は、世界の工場としての地位も縮小に向かわざるを得ないであろう。ゆえに習近平ファシスト政権の「双循環」政策は成功しないということは明らかである。今後中国経済の凋落が始まるであろう。
#中国の国情に合った人権
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