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バイデン政権の対中国戦略は未だ出ず!

 バイデン政権は米日韓の軍事同盟を強化し、台湾防衛にもこれを拡大したいという希望を持っている。今年11月17日のワシントンでの米日韓外務次官協議で韓国政府が政権幹部を竹島に上陸させて、日韓が対立し共同記者会見が出来なかったように、韓国の反日はアメリカの反中包囲網に巻き込まれないための巧みな外交戦術だ。

 中国が韓国向け尿素水の輸出を止めて韓国に中国依存を思い出させたように、韓国経済はあまりにも中国に依存している。アメリカの北京冬季オリンピックへの外交ボイコットに対し、文在寅大統領は「外交ボイコットは検討していない」と表明した。つまり韓国は中国包囲網に加担する気は毛頭ない。

 中国政府はこれまで、日本への警戒感から日本は自立させずアメリカの従属国にしておく外交を基本としてきた。ところがアメリカとの覇権を巡る対立が激化すると、中国は対日外交を対米従属から、日米の同盟を認めつつも、米中のどちらにも組しない立場に置くことを目的とする外交に転換した。しかしアメリカは米日の同盟を対中戦略の柱にしている。つまり米中対立で日本の戦略的地位が極めて高くなっているのである。

 しかし韓国が中国への経済的依存を強めているので、米日韓の軍事同盟は対中包囲網には機能しない。ということは在韓国駐留米軍は国連軍の指揮下であるので、対中国、台湾防衛には動員できないことになる。かっての韓国軍はアメリカのベトナム戦争にも参戦した。しかし文在寅政権では台湾防衛に韓国軍は動員できない。ここにアメリカが未だに対中国戦略を具体化できない理由がある。

 インドは非同盟を貫き、オーストラリアは海軍力が弱体だ。アメリカの対中国戦略は米日の同盟を基本にしなければ、戦力を増強している中国に対抗できない。アメリカの民主党政権はオバマ政権以来、アジア重視を口では言いながら、実際には中国との経済の相互依存性を重視してきた。アメリカ企業は(日本もだが)未だ多くの企業が中国を生産拠点にしている。ここにアメリカが対中国戦略を具体化できない2つ目の理由がある。

 オバマ政権の副大統領を長く務めたバイデンは、トランプが批判していたように中国とは緊密な関係がある。習近平はバイデンを「古い友人」と呼ぶ関係だ。またバイデン政権になってからアフガンスタンの親米政権を見捨てた経緯から、アジア諸国のアメリカ外交への疑念、信頼性が低下している。この点もバイデン政権が対中国戦略を具体化できない理由である。

 バイデン政権が対中国覇権争いの戦略を出せない最大の理由は、アメリカの国内の分断・対立が激化し、議会のねじれもあり、バイデンの選挙公約であるバラマキ予算が議会を通らず、バイデン政権の支持率が30%台まで低下していることである。議会工作は副大統領の仕事だがハリス副大統領の支持率は20%台だ。つまりバイデン政権は国内政策が行き詰まり外交どころではないのである。

 こうしてアメリカの外交はすべて停滞している。ウクライナ問題ではロシアを押さえきれず。中東のイランの核問題では平和的解決が行き詰まっている。そのようなわけで世界は当分中国の「戦狼外交」が幅を利かすことになりそうだ。
#停滞するアメリカ外交
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コメント

 アメリカの戦略立案力が落ちたのでは

 内政がうまくいかないと外交どころではない。
  バイデンは外交ボイコットでごまかそうとしているが、あれでは次の政権は共和党になるのでは?

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