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欧米以外でノーベル賞を日本だけが多く受賞する理由

 アジア・アフリカ・中南米でなぜ日本だけがノーベル賞を28回も受賞できたのはなぜか?を考えてみた。
<歴史的理由>
 織田信長が職人(=絵師や建築家など、芸術家でもある)に「天下一」の称号を与えたことで、江戸時代を通して職人の社会的地位が高かったこと。戦国時代すでに日本の鉄砲保有数は当時の欧州の総数を上回っていたこと。ゆえに日本だけは植民地にできなかったこと。日本の鍛冶職人の技術が高く、数も多かったこと。技を磨くという職人気質が確立していたこと。
 封建制度が確立し、江戸時代に寺小屋で広く教育が行われ、文盲が少なかったこと。江戸時代に江戸は世界一の消費都市であったこと。つまり江戸時代に資本の本源的蓄積がされていたこと。明治になっても欧米に追いつき追い越せで、教育に力を入れたこと。

<戦後改革で高度経済成長を実現したこと>
 GHQの戦後改革は、土地改革で地主階級をなくし、農村を自給自足経済から資本主義の市場とし、労働力供給基地としたこと。財閥解体で企業間の競争が激化し、新しい技術の開発競争が研究の重要性をうながしたこと。
 民主的労働改革で労組が合法化され、賃金が継続的に上昇し、内需の拡大が続き、高度経済成長が続き、企業や大学の研究費が潤沢に保障されたこと。
 何よりも戦後改革は、古い絶対主義的天皇制から新しい民主と自由な社会となり、科学的気風が社会の発展を促したこと。

<政府がノーベル賞の受賞を目指したこと>
 政府が大学の基礎研究に力を入れ研究費を保障したこと、高度経済成長が経済的に研究費の負担を可能にしたこと、などが研究を促し、多くのノーベル賞の受賞につながった。

 しかし最近のデフレによる30年間の経済の縮小で日本の研究費も縮小しており、現在のノーベル賞の受賞は高度成長時の研究なので、日本の科学技術力は今後は低下を免れない、といわれている。

 中国のような管僚の独裁国家は自由と民主がないので、自由な研究、好奇心に基づく研究はできない、ゆえに他国から研究者を引き抜くしかない。韓国のように儒教思想で、日本の戦後改革のような社会改革が南北対立の中で行われず、社会生活から政治まで感情で動く社会では、科学者の科学的、合理的思考は受け入れられず、ゆえにノーベル賞も平和賞以外受賞できない。

 封建制度の体内から資本主義経済は成長したのである。ゆえに欧州と日本だけが封建制度を経験したことが、科学技術発展の経済的基盤を形成できたのだといえるのではないだろうか。アメリカは、イギリスの産業革命で織物産業の原料である羊毛の需要が高まり、大地主(貴族階級)が小作人を追い出し(=囲い込み運動)、これらの農民がアメリカに移民し、アメリカは自由な資本主義が発展することとなった。

 科学技術は自由で民主的で合理的な思考が許されるの環境でのみ発展する。資本主義世界で、戦後アメリカが世界の覇権を握るようになるのは必然であった。ノーベル賞の受賞がアメリカ人が多いのは当然であった。アメリカには封建的貴族階級はおらず、土地は平らで大規模農業に適し、農機具などの需要も高く資本主義工業が高度に発展する経済的基盤が生まれた。

 日本は最近30年間の、経済の縮小の中で研究費も減少し、その結果大学や研究機関でパワハラが増加し、研究妨害や研究やアイデアを奪い取る事件が頻発し、若い有能な研究者が潰されたり、海外に移住する事態が多く生まれている。パワハラの禁止と、地位(教授・準教授・助手などの)にかかわらず自由な研究を保障する環境整備が不可欠となっている。
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