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「恒大」の経営悪化の背後にあるのは中国経済の危機

 中国の不動産大手、「恒大集団」は、中国不動産業界第2位の大手であり、負債総額が日本円で約33兆円に達し、現在経営不安に直面している。同集団の経営不安を起点に世界の金融市場が動揺している。20日の香港や米国の株式市場に続き、祝日明け21日の東京市場でも日経平均株価が大きく下げて3万円の大台を割り込んだ。

 中国では土地はすべて国有なので、土地の使用権を入札で販売することで財政収入を得ている。中国政府は高金利政策(3,85%)を維持することで海外からの資金を取り入れている。そのため欧米投資家の中国買いが続き、中国国債の外国人保有比率は今年1月末には10%を突破し総額2兆元(約34兆円)に達した。外国人の中国株式保有残高も今年4月に3兆4000億元(約58兆円)と前年同月比62%増と急拡大している。

 この過剰な資金が不動産投機熱に火をつけたのである。中国政府は不動産市場の過熱を抑えるため、金融機関の不動産融資などへの規制を強めている。もちろん価格高騰に手を打つ必要はあろうが、一気に締め付ければバブルの崩壊を招く恐れがある。それをいかに回避するかが習近平政権の難題なのだ。

 不動産会社センタラインによると、土地入札の不成立は今年1─7月が796件と前年同期の2倍以上に増えて、大都市では2015年以来の高水準、小都市では過去最高を記録したという。中国国際金融(CICC)の調査では、不成立が入札全体に占める比率は8月第3週までが9.4%と、7月全体の7.3%を上回った。

 コロナからの経済回復で、世界的に優位に立ったとみられていた中国経済は、現在高金利ゆえの企業業績の悪化、不良債権の膨張、資源価格の急騰、外資工場の海外流出などの困難に直面しているのである。しかもコロナ不況で失業が増大し、貧富の格差拡大で人民の共産党への批判も高まっている。

 習近平政権が「共同富裕」というスローガンを掲げ、貧富の格差解消を最優先課題にしていること、反腐敗の運動をやめられないこと、東京オリンピックで中国人選手に毛沢東バッチをつけさせたりしたのは、左派を装い、人民の不満を懐柔しているのであって、社会主義を目指しているのではない。「恒大集団」の救済を行わないという見方は、不動産価格の抑制は格差解消につながる政策であるので放置するという見方が強まっているし、また中国政府が国際経済の相互依存関係を見せつけることで、アメリカの対中政策をけん制しているとの見方もある。

 日本企業は対中輸出に頼っており、中国経済が不況になれば日本の景気回復は遠のく。また報道では日本年機構の資金も中国に投下されており、中国の経済危機はすなわち日本の深刻な危機となる。日本企業は中国リスクが大きくなっている中で、生産拠点の分散化を急ぐべきだ。

 中国政府は企業業績の悪化、不良債権の膨張を助けようと金利を下げれば人民元の暴落と大規模な外国資金の逃避を招く可能性があり、習近平政権は窮地にある。こうした内政面の困難が台湾進攻の可能性を高めているのである。内的矛盾の激化を外的矛盾にすり替える可能性が高まっているといえる。
#恒大集団 #中国経済危機
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