fc2ブログ

米豪の原潜計画がNATOに対立呼ぶ!

 オーストラリア海軍がコリンズ級潜水艦の後継艦として計画中の潜水艦を「アタック級潜水艦」という。この潜水艦計画は入札した日本のそうりゅう型を特許の共有問題で退け、フランスと豪州は2016年、潜水艦の共同開発に向けた契約を結んだ。しかしフランスには3300トン型の通常型潜水艦のエンジンが生産できず、計画が進捗していなかった。

 豪のモリソン首相が潜水艦の納期を守れとフランスに警告していた。フランスのNaval Group社は、2021年2月に設計作業計画を豪政府に提出したが、豪国防省が、「経費がかかりすぎる」としてこの計画を却下、その後今年4月にはアタック級潜水艦500億ドルの建造計画そのものが中止となっていた。

 今年の6月初め、豪の連邦議会上院予算委員会の証人席に座ったグレッグ・モリアーティ国防省事務次官が、「フランスとの潜水艦建造契約が破綻した場合の代替案を用意しているのか」との質問に対して、「計画通りに進まない場合に代わりの案を用意するのが賢明で慎重な態度だと考えている」と回答している。

 こうして今回、米英豪による新たな安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」の創設に伴い、原子力潜水艦プログラムが発表された。アメリカとイギリスが原潜技術を豪政府に供与して通常型兵器を搭載した豪の原潜計画が出てきたのである。形の上ではフランスが受注したアタック級潜水艦12隻(500億ドル)の計画をアメリカが横取りした形となった。

 これに頭にきたのがフランスで、マクロン大統領は駐米大使と駐オーストラリア大使の召還を決めた。豪政府の契約破棄の決定を受けてフランスは反発を強めており、専門家は今回の外交危機がフランスや欧州とアメリカとの同盟関係に長期的な打撃を及ぼす可能性があるとしている。また欧州連合(EU)外交官は、この問題によって米欧関係やインド太平洋地域における欧州の地政学的方針を巡り疑問が生じたとの見方を示した。

 今後、アメリカとフランス、豪政府とフランスの間で契約破棄の賠償金支払いが話し合われるとみられるが、契約の納期を守れなかったフランス側にも責任があり、話し合いは難航するとみられている。バイデン米大統領はトランプ前大統領が破壊した同盟関係を修復しようとしていたが、それを自ら再び破壊しかねない事態となった。アメリカの対中国戦略が、同盟間の新たな摩擦を生み出したことになった。今後EUが安保問題で独自性を強めていく可能性が強くなってきた。
#豪潜水艦計画

 
スポンサーサイト



コメント

アメリカも悪いが・・

 私は建造能力のないフランスと契約したオーストラリア政府も悪いと思います。
 それと通常兵器の潜水艦に高価な原潜が必要とも思えませんが?

コメントの投稿

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

SEO対策:政治