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部族社会のアフガン政府軍は張子の虎だった!

タリバンの、幹部も「このような形での勝利は想定外だった」と語る、アフガン政権の早期の崩壊は、世界の誰も想定していなかったのである。アフガン政権がタリバンと闘わないうちの全面崩壊はなぜ起きたのか?世界中の人々が疑問に思っている。
 
バイデン米大統領が今年4月、タリバンとの和平合意もせず、撤退を一方的に表明したのは、アメリカ製の最新鋭の兵器や資金力で、アフガンの国軍や警察を増強してきたので、アメリカが空爆で支援すれば、アフガン政府が政権を維持できると見たからであった。バイデン米大統領は、部族社会の寄せ集め「政府軍」の脆弱性を見抜けなかったのである。

ゆえに、アフガン政権軍は米軍頼みの政権であり、兵士は満足に教育も受けていない、軍の訓練度が低く、なりより、アフガンは多民族の部族社会なので、兵士の国家への忠誠心は皆無で、もともと部族社会の構成員の意識はあっても、愛国心はかけらもなく、「飯が食えるから兵士になっていた」だけだったのである。

いざ米軍が撤兵するとなると、タリバンが攻めてきたときに命を懸けて国を守る、という愛国心を持つ軍人は皆無であった。部族社会の寄せ集めのアフガン政府軍は張子の虎だったのである。ゆえにタリバンが各州を制圧していく手法として、部族の長を抱き込めば、州知事や治安機関の長を懐柔し、取り込むことはたやすかったとみられる。

こうして地方幹部の無血開城をみたガニー大統領が真っ先に国を捨てて隣国に逃げ出したので、アメリカ軍はアフガンから撤兵できないうちに政権が崩壊したのである。無様なことに、アメリカ大使館員も急きょヘリで空港に逃げ出すこととなった。これはアメリカが南ベトナムから逃げ出したときとよく似ている。かいらい政権は、「後ろ盾」(駐留米軍)が逃げ出せば崩壊を免れないのである。

バイデン政権は南ベトナムからの撤兵の失敗の経験を生かせなかったことは、深刻な打撃を今後に残すことになった。とりわけ問題点は、アメリカがアフガン政府軍に与えた最新式の兵器がどこの国に流れるかである。中国やロシアやイランに流れることは容易に想像できる。

バイデン政権は、対中国との覇権争奪のために泥沼(=アフガン)から逃げ出したのであるが、その逃げ出し方が戦術的に失敗だった。もともと用兵では、撤兵ほど難しいものはない。

バイデンはタリバンと撤兵交渉をするか、もしくは段階的撤兵のスケジュールを公表すべきではなかったのである。アフガン社会の特徴は、部族社会の寄せ集めであることを、バイデンは見ていなかったことになる。裏返せばタリバンは20年前の支配政権なのでアフガンの部族社会の特徴を見ていたゆえに勝利できたのである。
#失敗した米軍撤兵
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