タリバン政権復活の持つ戦略的意味!
<アフガン政権崩壊>
米バイデン政権は、8月31日までのアフガニスタン駐留米軍の撤退を進めていたが、今月15日アフガニスタン政府のガニー大統領がアラブ首長国連邦に亡命し、タリバンが同日首都カブールに侵攻し、大統領府を掌握した。
アメリカ政府は大使館員をヘリで救出し、カブールの空港に大使館機能を移した。アメリカ政府は14日米政府職員やアフガン人協力者の安全と撤退を確保するために5000人の米兵を派遣する計画であったが、事態の急変で間に合わなかった。
<米軍撤退の戦略的意味>
トランプ政権がアフガン撤退を決め、バイデンがそれを受け継いだのは、中国覇権主義との覇権をめぐる「競争」に戦略的重点を置くためには、泥沼のアフガニスタンから撤退するほかなかった。
バイデンは「テロリストの再台頭を、地平線の向こうから阻止する」と語って、センサーや衛星を駆使して、遠くからでもタリバンをはじめとするテロ組織を監視し、必要であれば、近隣の米軍基地から戦闘機やミサイルや無人機(ドローン)を送り込み政府軍を支援するとしていたが、それもかなわなかった。
ロシアと中国が、米軍のアフガンからの撤退を「無責任」と批判していたのは、アフガンが再びイスラム原理主義のテロ組織の拠点になることを恐れたためであり、アメリカ軍をアフガニスタンの泥沼で消耗させることができるからであった。イスラム原理主義の矛先は中国の新疆ウイグルと中央アジアとロシアにも向けられていたからである。
中国政府の王毅外相が7月28日に天津でタリバーン代表者と会談したのは、米軍撤退後のアフガ二スタンがタリバン支配となるのが確実であったので、タリバンを「一帯一路」戦略に取り込む狙いからであり、同時に新疆ウイグルに手を出さない限り経済的支援を与える約束をしたと見られている。
重要なことは、米中の覇権争いが激化し、一つの紛争から米軍が撤退すれば、その空白を中国が埋めるという図式が出来上がっていることだ。つまり米軍が戦略的重点のための撤退をすれば、それが中国の戦略的成果になり、一層多極化が進むという皮肉な結果が生まれている。
イギリスのベン・ウォレス国防相は、アフガニスタン駐留米軍の撤退を決めた米政権の判断について「誤りだった」と批判した。アフガンが「テロの温床」になるとの見方を示し、「私たちは皆、国際社会として代償を払うことになるだろう」とも述べた。
タリバンの政権基盤となっているイスラム原理主義の問題は、奴隷制時代の原始的宗教を、今の時代にあった「宗教改革」でしか解決できない問題であり、それはイスラム教の宗教指導者にのみできることである。それを軍事的に成し遂げようとしたところに、アメリカの戦略的誤りがあった。中国ならそのような問題は理解しているはずであり、うまくタリバーンを取り込むかもしれない。
<今後の米中覇権争いの展開>
今後コロナ後に来るであろう経済・金融・通貨危機を、中国や欧米日諸国がうまく乗り切れるのか?アメリカのバイデン政権が大規模な公共投資で経済的力を復活できるのか?
軍事的には、アメリカの超高速中距離ミサイルの配備ができるのか?米日の同盟関係が超高速中距離ミサイルを日本列島に配備できるのか?にかかってくる。つまりアジアにおけるアメリカの軍事バランス回復策が成功するかが重要となる。
中国政府がこれまで、「日本はアメリカの従属国にしておく方がいい」としていたのを、日本を自立させ、米中対立の傍観者にしようと、外交戦略を転換したのは、米中の覇権争いの帰趨を決めるほど、経済力で世界第3位の日本が決定的に重要となったからであった。つまり日本の戦略的地位が重みを増していることを認識して、それに見合う防衛力を急ぎ整えなければならないのである。
中国が習近平ファシスト政権の凶暴性(=軍事的暴走)を発揮し始めた中では、日本は反ファシスト統一戦線の側(=民主主義の側)に立つほかなく、中国が日本に対し核恫喝を強めているのは、日本の帰趨が米中の新冷戦の行方を決めるからに他ならない。
#タリバン #アフガン政府崩壊
米バイデン政権は、8月31日までのアフガニスタン駐留米軍の撤退を進めていたが、今月15日アフガニスタン政府のガニー大統領がアラブ首長国連邦に亡命し、タリバンが同日首都カブールに侵攻し、大統領府を掌握した。
アメリカ政府は大使館員をヘリで救出し、カブールの空港に大使館機能を移した。アメリカ政府は14日米政府職員やアフガン人協力者の安全と撤退を確保するために5000人の米兵を派遣する計画であったが、事態の急変で間に合わなかった。
<米軍撤退の戦略的意味>
トランプ政権がアフガン撤退を決め、バイデンがそれを受け継いだのは、中国覇権主義との覇権をめぐる「競争」に戦略的重点を置くためには、泥沼のアフガニスタンから撤退するほかなかった。
バイデンは「テロリストの再台頭を、地平線の向こうから阻止する」と語って、センサーや衛星を駆使して、遠くからでもタリバンをはじめとするテロ組織を監視し、必要であれば、近隣の米軍基地から戦闘機やミサイルや無人機(ドローン)を送り込み政府軍を支援するとしていたが、それもかなわなかった。
ロシアと中国が、米軍のアフガンからの撤退を「無責任」と批判していたのは、アフガンが再びイスラム原理主義のテロ組織の拠点になることを恐れたためであり、アメリカ軍をアフガニスタンの泥沼で消耗させることができるからであった。イスラム原理主義の矛先は中国の新疆ウイグルと中央アジアとロシアにも向けられていたからである。
中国政府の王毅外相が7月28日に天津でタリバーン代表者と会談したのは、米軍撤退後のアフガ二スタンがタリバン支配となるのが確実であったので、タリバンを「一帯一路」戦略に取り込む狙いからであり、同時に新疆ウイグルに手を出さない限り経済的支援を与える約束をしたと見られている。
重要なことは、米中の覇権争いが激化し、一つの紛争から米軍が撤退すれば、その空白を中国が埋めるという図式が出来上がっていることだ。つまり米軍が戦略的重点のための撤退をすれば、それが中国の戦略的成果になり、一層多極化が進むという皮肉な結果が生まれている。
イギリスのベン・ウォレス国防相は、アフガニスタン駐留米軍の撤退を決めた米政権の判断について「誤りだった」と批判した。アフガンが「テロの温床」になるとの見方を示し、「私たちは皆、国際社会として代償を払うことになるだろう」とも述べた。
タリバンの政権基盤となっているイスラム原理主義の問題は、奴隷制時代の原始的宗教を、今の時代にあった「宗教改革」でしか解決できない問題であり、それはイスラム教の宗教指導者にのみできることである。それを軍事的に成し遂げようとしたところに、アメリカの戦略的誤りがあった。中国ならそのような問題は理解しているはずであり、うまくタリバーンを取り込むかもしれない。
<今後の米中覇権争いの展開>
今後コロナ後に来るであろう経済・金融・通貨危機を、中国や欧米日諸国がうまく乗り切れるのか?アメリカのバイデン政権が大規模な公共投資で経済的力を復活できるのか?
軍事的には、アメリカの超高速中距離ミサイルの配備ができるのか?米日の同盟関係が超高速中距離ミサイルを日本列島に配備できるのか?にかかってくる。つまりアジアにおけるアメリカの軍事バランス回復策が成功するかが重要となる。
中国政府がこれまで、「日本はアメリカの従属国にしておく方がいい」としていたのを、日本を自立させ、米中対立の傍観者にしようと、外交戦略を転換したのは、米中の覇権争いの帰趨を決めるほど、経済力で世界第3位の日本が決定的に重要となったからであった。つまり日本の戦略的地位が重みを増していることを認識して、それに見合う防衛力を急ぎ整えなければならないのである。
中国が習近平ファシスト政権の凶暴性(=軍事的暴走)を発揮し始めた中では、日本は反ファシスト統一戦線の側(=民主主義の側)に立つほかなく、中国が日本に対し核恫喝を強めているのは、日本の帰趨が米中の新冷戦の行方を決めるからに他ならない。
#タリバン #アフガン政府崩壊
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