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上がらない日本人の年収

モルガン・チェース銀行市場調査本部長の佐々木融氏は、コラム:円安は「後退する日本の象徴なのか、浮上する不都合な真実」の中で以下のように述べている。

(以下引用)「 <上がらない日本人の年収>
円が割安な水準から調整されないだけでなく、日本は年収も上がらないので、ますます日本人の相対的な購買力が低下してきている。経済協力開発機構(OECD)のデータによると、2020年の日本の平均年収は440万円だが、2000年は464万円だった。20年間で小幅減少しているが、他国と比べるとかなり異常と言える。その他主要国の平均年収はおおむねこの20年間で1.5倍から2倍に増えているからだ。データがあるOECD加盟国で年収が減っているのは日本だけだ。

この結果、ドル建てでみた平均年収は2000年当時の日本はOECD加盟国の中で3番目に高い国だったが、今や順位は20位まで低下しており、韓国とほぼ同水準となっている。ちなみに20年前の日本の年収は韓国の2.7倍だった。

他国はインフレ率も高いし、日本はインフレ率が横ばいだから名目賃金が上昇していなくても仕方ないだろうと開き直りたくなるかもしれない。しかし、日本の実質平均賃金は過去20年間でみても、30年間でみてもほとんど変化していない。

一方、米国の実質平均年収は過去20年間で25%、過去30年間で48%も上昇している。その他主要国も過去20年間の実質賃金は15%─45%程度伸びており、日本とは状況が大きく異なっている。」(引用終わり)

つまり佐々木氏は、日本の過去30年間の実質年収がほとんど増えていないことを指摘している。他国は1,5倍から2倍になっているのに、日本は労働者の賃金が伸びていないのである。これでは日本経済が縮小再生産になるのは当然だ。日本は20年前は平均年収がOECD加盟国の中で3番目に高い国だったが、今では韓国と同水準だというのだ。20年前の日本の年収は韓国の2,7倍だったのである。

日本の財界が既成労組を家畜化し、飼い慣らした結果、日本は実質年収が上昇しない社会となってしまったのである。実質年収が上昇しないと個人消費も上昇しない。国民経済は個人消費が継続的に上昇しないと経済成長(拡大再生産)しなくなるのである。

労働者の賃金を抑制すれば経営者の目先の一時的利潤は増えるが、国民経済は疲弊するのである。冷戦崩壊後の「新自由主義」で、日本企業は海外で超過利潤を稼いだ(海外の日本企業の内部留保は約40兆円)が、国内では「改革」「規制緩和」と称し、賃上げせずに搾取率を高める政策のみ取った。それが非正規雇用の拡大であり、残業大の不払い、長期間労働である。つまりブラック企業化が日本経済を発展途上国並みに低落させたのである。

国民経済が成長・拡大するには均衡のとれた分配が必要であり、強欲の資本主義が何をもたらすのか?という命題で世界の経済学者が、日本のデフレの社会的結果に注目しているほどだ。それでも日本の政策担当者が経済政策の失敗に気づいていないのであるから、これは民族的不幸というべきだ。

日本の大学からマルクス経済学者が一掃されたことが禍しているといえる。マルクス経済学でなくとも、戦後のGHQの戦後改革は、労働運動を合法化することで、賃金が継続的に上がる仕組みを作り、これで内需を継続的に拡大し、戦後の高度経済成長が実現したのであるから、労働運動の経済成長に果たす役割の大きさが理解できるであろう。労組を家畜化し、賃金を抑制する愚を指摘しなければならない。
#上がらない日本人の年収
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コメント

賃上げを抑制しすぎだ!

 内需を縮小するほどの賃金抑制は行き過ぎです。
  今では韓国水準ですか。情けないですね。
   日本経済は韓国レベルなのですね。
    強欲な経営者の言いなりの政治ではだめだな!
     国民経済をもダメにする愚策です。

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