fc2ブログ

アメリカのニ正面戦略放棄後の世界!

アメリカが深刻な財政危機によって戦略転換を余儀なくされた事は、世界の戦略関係に深刻な変化を招くことになる。
この戦略転換は財政危機に伴う超党派の決定であるので、大統領選の結果は関係ないと見ておくべきである。
アメリカがニ正面戦略を放棄しアジア重視を打ち出したことで、裏庭の中南米諸国や資源の多いアフリカ・中東でアメリカは資源の開発などの権益を失うことになるのは避けられない。

今回の戦略見直しは経済成長が著しいアジアを、アメリカ金融資本のために確保することを最低限の戦略目標とした、事実上の「息継ぎの和平」への転換であり、当面10年間ぐらいはアメリカは内政重視で経済の立て直しに取り組むことになる。

つまり中南米とアフリカでアメリカは中国とロシアの影響力の拡大を阻止できない状況にある。問題は中東である。シーアー派の力が強まったイラク・混乱するシリア・制裁下で核開発中のイラン・反米の姿勢を強めるパキスタン、米軍撤退中のアフガニスタン、さらには大衆のデモが激化している中東諸国で反米勢力が動きを活発化する可能性がある。

アメリカは国内のオイルシェールからの採掘で中東の石油への依存は減少し、中東の戦略的価値は低下しているとはいえ、資本主義世界のエネルギーが中東の石油に依存していることに変わりはないのである。したがって抑止戦略がうまく機能するかどうか分からない。

もうひとつの懸念は、アメリカの経済が単にドル安という条件だけで回復するのか?技術的な面でのアメリカ企業の競争力が低下していることである。これは安い労働力を求めて海外に生産拠点を移して、利潤追求してきたアメリカ企業は、技術的な面で立ち遅れているので、売却する商品は武器か医薬品・医療機器ぐらいしかない。オバマのグリーン・ニューデールが失敗したのはアメリカの太陽光発電パネル生産企業の技術と価格の立ち遅れによる倒産に原因がある。

したがってアメリカの戦略的後退につけ込む中国やロシアとアメリカとの資源と市場を巡る対立は激化せざるを得ないのである。とりわけ欧州が長期停滞局面にあり、日本が震災からの復興局面にあるので、中国・ロシアは戦略的に非常に有利となる。この2国とアメリカの矛盾は、世界同時不況の進行の中で対立の激化は避けられない。日本はアメリカに軍事的貢献と資金面の貢献をより求められることになる。
日本は防衛力を強化し対等の同盟関係にしていくこと、同時に対米自立を目指さなければならない局面なのである。
関連記事はこちら「オバマ政権のニ正面戦略の放棄」
スポンサーサイト



テーマ : オバマ大統領・政権 - ジャンル : 政治・経済

コメント

コメントの投稿

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

SEO対策:政治