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EUのアジアへの艦船派遣の戦略的狙い!

トランプ米前政権のアメリカ第一主義は、欧州(EU)の戦略的自立化を促した。ドイツは日本と違いアメリカの従属国ではない。ドイツは核戦力を持たないのでフランスとの同盟で共通のユーロ圏の東への拡大を追求している。

ドイツはロシアからの天然ガス海底パイプライン敷設で、ロシアの経済圏取り込みを追求している。中国はトランプのアメリカ第一主義を利用し欧州に接近した。欧州側も中国の投資に期待したのだが、中国の狙いがドイツの軍需企業買収にあることが分かり、戦略産業への投資や買収を禁止するようになり、欧州は中国のファシスト的体質に警戒感を強めた。

フランスとドイツは対ロシア経済制裁を解除したいと考えており、アメリカはEUの東欧、ロシアへの拡大を警戒して、対ロシア強硬姿勢を求めている。アメリカは対ロシア封じ込めを口実に欧州への武器購入と軍事的貢献を期待したが、欧州はEU経済圏の東への拡大を戦略重点とするようになっている。

つまり世界経済はドル圏、ユーロ圏、元圏に多極化しつつあり、アメリカの一極支配はすでに過去のものになりつつある。アメリカが戦略的優位を維持するには世界経済第3位の日本との同盟を固めるほかない。つまり日本の戦略的価値が高まっていることを、日本の政治家は把握する必要がある。

つまり欧州は、アメリカの中国との対決を支持する形でアジアへのフランス空母やドイツの艦船派遣が今年になって行われるのは、欧州のEU経済圏の東への拡大の時間を稼ぎ、アメリカと中国の軍事的対峙を煽ることが、欧州の戦略的有利に働くことを計算しているのである。

ロシアのプーチンが先に黒海の軍事的封鎖と15万人のウクライナ国境への終結で東欧諸国を揺さぶったのは、NATOの戦略的形骸化を浮き彫りにし、ロシアの戦略的価値の高さを見せつけたということである。プーチンのロシアは中国に接近するかに見せて、実は欧州に接近したいのである。

中国がロシアとの軍事同盟を断ったのは、こうしたロシアの戦略を読んでいるからであり、ロシアカードで、バイデンに譲歩を迫る外交的駆け引きであり、ロシアが接近したい相手が中国よりも技術的に高いEUであること、中国はアメリカとの軍事的力関係からあと数年は軍拡の時間を必要とすることから、ロシアとの軍事同盟でアメリカを刺激したくなかったのである。

つまり世界はドル圏、ユーロ圏、元圏の多極化の中での戦略的・外交的・軍事的駆け引きの段階にある。欧州はアジアにおいて、アメリカと中国の対立を煽ることに戦略的利害を見出しているということである。

日本の戦略的価値の高まりは対米自立の好機であり、日本は戦略的独自性を追求するチャンスである。もっとも対米従属一辺倒の自公政権にはそのような戦略的変化が見れるわけではないので、自立は期待薄だが・・・。
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コメント

なるほど!

 戦略的狙いがあって艦船をアジアに派遣するのか。
よくわかりました。

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