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クアッドは対中戦略のカナメにはなりえない!

習近平政権の現在の経済戦略は、「内循環経済への移行」と外需維持政策の2本立てである。米ソの勝敗がアメリカの巨大な消費市場にあった教訓と、中国経済が外需依存の脆弱性にあることから取られている政策だ。

しかしこの政策は、中国がこのままではファシスト政権になることを心配した毛沢東が、集団化・全人民所有制を進めたため、中国の内陸部は資本主義化が難しい。習近平政権が内陸部の資本主義化を進めるためには土地の所有制に手を付けるほかない。しかしこれをやれば習近平の走資派の姿が露わとなる。つまり習近平の「内循環経済への移行」は難しいのである。

また習近平政権が労働者への賃上げで「内循環経済への移行」で、内需拡大政策をすすめれば、中国経済は輸出競争力を失うので、外資が資本を引き揚げるであろう。つまり習近平政権の経済政策は必ず失敗する。

中国経済はコロナ渦で中国だけが黒字成長を宣伝しているが、実際には出稼ぎ労働者1億人が失業しているのを隠蔽している。中国は実際にはマイナス成長なのだが、国家統計局が彼らの「最終兵器」で、統計でごまかしているのである。

国内経済の行き詰まりが、中国を極めて侵略的な国家としていることを見てとらえなければならない。幸か不幸か、アメリカの側にも内政に問題があるので、中国政府は軍拡の時間を稼ぐことが可能になっている。

さてこのような中国に対抗する米日豪印のクアッドには大きな弱点がある。(1)アメリカは内に分断対立があるし、産業は多国籍化し、空洞化している。(2)インドはガンジー・ネール以来の伝統の非同盟主義を捨てられず、軍事同盟には参加できそうもない。(3)オーストラリアは輸出の30%以上を中国市場に依存している。(4)日本は周辺国にロシア、韓国、中国といずれも敵対的国家があり、領土問題を抱えている。また憲法上の制約がある。

以上の事から、クアッドは対中戦略のカナメには、すぐにはなりそうもないということだ。しかもアメリカがTPPから抜け、中国が参加を表明している。中国が海外市場を維持、拡大できる可能性がある。バイデン政権は労働組合の影響力からTPPに参加できそうもない。

欧州連合諸国(ドイツ・フランス)がバイデン政権の、ロシア・中国封じ込め戦略に反対したために、アメリカにとっての日本の戦略的価値が非常に高まっていることは確かである。ただし従属憲法で日本の自衛隊を防衛兵器だけに制限してきたことが今になっては、アメリカの軍事的同盟国としては制限がある。日本の奇形的防衛力をそのままにして、軍事的増強を図るのがバイデン政権の課題となっている。最近の2プラス2がそれを物語る。今のアメリカは、日本の自立を認める気はないということだ。しかし同盟というのは「対等の同盟」でなければ力を発揮できないという問題に、やがてアメリカはぶつかるであろう。

対中国戦略で重要なのは「民主化」「少数民族の自治」を求めること、「独裁の放棄」を要求していくことである。これは人権問題であると同時に、国際的貿易の競争条件を平等にするという大義名分がある。軍事的には対中の反ファシズム統一戦線を形成していくことだ。米日の軍事同盟にイギリスを参加させ、米日英の軍事演習にオーストラリアやインドを参加させていけばいい。経済的にはトランプがやったように中国製品への関税をかけることで国際的規模で制約していくことが重要である。経済的制約を圧力に中国に「民主化」を求めていくことが重要なのである。
#クアッド
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