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EUに否定されたバイデンの戦略構想!

今年2月に行われた「G7首脳会議」と「ミュンヘン安全保障会議」のオンライン会議は、アメリカのバイデン政権の対中ロ封じ込めの共同戦線構想が行き詰まりを見せた会議となった。

バイデン大統領は「アメリカは戻ってきた」と何度もくり返し、米欧による大西洋同盟が中国とロシアの封じ込めの共同戦線を作る、という戦略を提案したが、欧州はこれに応えなかった。

フランスのマクロン大統領は「ロシアに制裁したところで、何の意味もない。もっと対話が必要だ。」と全く逆の提案をした。ロシアから天然ガスの海底パイプラインを敷設してロシアとの関係強化を進めているドイツのメルケルは「中国には何かをしないといけませんね」と返し、バイデンの共同戦線構想には一切触れなかった。

もともと拡大EUがロシアと結びついてユーロ圏が拡大することを嫌ったオバマが、ロシアのオリンピックのスキをついて、ウクライナでクーデターを起こした。ロシアは激怒してクリミア半島を併合し、これに対して欧米は対ロシア経済制裁を実施した。つまりアメリカはEUとロシアの分断に成功したのである。

ところがトランプ大統領の「自国優先主義」がEUにロシア接近を促すことになった。アメリカがバイデンになって、中国とロシアの封じ込めの共同戦線を作る、といってもEUはアメリカを信用していないのである。

今のEUは新型コロナのワクチンの争奪戦で自国優先主義が露わになり、1月29日には製薬会社が域外にワクチンを許可なく輸出できなくする規制強化策を発表した。ハンガリーやセルビアなどのバルカン諸国はワクチンをロシアや中国に頼る傾向が強まり、トランプ時代に自国第一主義を批判したEUは、今や自分たちが自国優先主義となった。

バイデン新政権誕生が明らかとなった後の、シンクタンク「欧州外交問題評議会」の調査によれば「アメリカと中国がもめたときには、あなたの国はどうすべきと思いますか」という問いに、欧州全体で60%が「どちらにもくみせず中立を貫け」と回答した。「アメリカの味方をすべき」と答えたのは22%だった。とりわけドイツでは「アメリカの味方」はわずか16%に過ぎなかった。

こうした欧州のロシア接近戦略は、バイデン政権に世界戦略の立て直しを迫っている。もともとオバマ時代にロシアを中国の側に追いやったのは戦略的誤りであり、中国とロシアを分断すべきであった。こうしてアメリカの戦略で、日本の同盟国としての戦略的価値が一層高くなったことに注目しておくべきである。

中国との覇権争いに欧州をどのように巻き込むかがバイデン政権の課題となり、当面アメリカは中国海軍を東シナ海と南シナ海に封じ込めるために第一列島線の島伝いに対艦ミサイル部隊を配備する方向だが、中国の中距離ミサイル2000基に対抗する中距離ミサイル(現在開発中)の配備は今後の課題となる。

今後バイデン政権はEUの取り込みのために欧州のロシア接近を容認しつつ、中国とロシアの分断策をとる可能性が強い。中国、ロシア、イラン、北朝鮮、ミヤンマーの独裁連合を分断する外交が当面重要となる。バイデン政権の中ロ同時封じ込めには無理があり、今後の戦略見直しに注目したい。
#世界は多極化
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コメント

一度壊したら同盟関係修復は難しい

 アメリカは覇権の再構築が難しいですね。
  選挙で大統領が代わるたびに戦略が代わってはたまりません。
   EUは多極化を選んだということですね。

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