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新START5年延長米ロ合意の持つ戦略的意味!

新STARTは戦略核弾頭と大陸間弾道ミサイル(ICBМ)などの配備数を制限する条約で、交渉期限が2月5日に迫っていた。トランプ前政権とロシアの交渉は難航し、決裂するとみられていた。バイデン政権とロシアの間で1月26日に延長合意に関する文書が外交ルートで交換され、両国首脳が電話協議で、これを歓迎し、国内の承認手続きに入った。

トランプ政権との交渉で争点だった中国の核軍縮枠組みへの参加や制限対象の拡大については、延長期間中に交渉を続けることとなった。核拡散防止条約についての中国政府の方針は「賛同せず、調印・批准するするつもリはない」(中国外交部華報道官)というものであり、米ロとの違いを見せている。

トランプ政権は、ロシアを中国の側に追いやる外交で、しかもアメリカは同盟関係をぶち壊し、アメリカだけ良ければいい、という方針であり、戦略とは言えなかった。バイデン政権がロシアと中国の関係で戦略的にトランプ政権と違う方針を取り始めたのは重要である。中国は戦略兵器で米ロに格差があるので、新STARTに参加することで、自国が核戦略兵器を制限されることを嫌っている。

ロシア経済はエネルギー輸出依存の経済であり、経済規模も小さく米欧にとって戦略的脅威としては小さい。中国は将来アメリカの経済規模を追い抜くとみられており、現在のところアメリカの覇権に挑戦し、脅かしており、バイデン政権がロシアと中国の矛盾に着目する外交を進め始めたことは、日本にとって悪いことではない。

日本は、将来中国社会ファシスト政権が台湾とともに侵略を狙う標的であり、それが避けられない以上、北方にロシアの脅威を招く2正面は戦略的に避けなければならない。中国は自国を「北極海周辺国」と位置づけているように、ウラル以東のシベリアは歴史的に中国の領土だ、との秘めた狙いがあり、したがってロシアで社会的混乱が起きれば、シベリアの回復に動く領土的願望を秘めている。また中央アジアの勢力圏への取り込みでも、中ロは利害対立がある。

近い将来台湾と日本への中国覇権主義の侵攻が確実視される以上、日本のロシアに対する戦略的位置づけは、中国との関係にくさびを打つ対象であることを明確にしなければならない。北方領土が日ロ間の主要な矛盾ではないのである。領土問題は棚上げしても、ロシアを中国の側から引きはがさないと、日本は戦略的に危ういのである。

日本外交はロシアに対し、中国に接近するよりも、日本と仲良くするほうが経済的に有利だと思わせる外交が必要な時である。
#新START #中ロ分断の戦略
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