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アメリカで何が起きているのか?

大統領選挙が終わっても、トランプは敗北を認めない。それどころか白人貧困層の怨念と憎悪はさらに深まっているように見える。アメリカ社会で何が起きているのかを見ることは、アメリカの従属国の日本の行く末を模索するうえでも重要なことである。

一口に言えば、アメリカで起きていることはグローバリズムの逆流現象である。アメリカ経済の稼ぎ頭はハイテク産業だ。ハイテク産業以外の企業は安い労働力を求めて多国籍企業化している。ハイテク企業が多く集まる州は民主党の基盤だ。それとは逆に経済発展から取り残された州は共和党支持である。

バイデン(民主党)とトランプ(共和党)の得票率は51%対47%で拮抗していた。ところが両者の支持基盤の州の経済力で見ると、民主党が勝った州の合計GDPはアメリカ全体の70%を占めている。これは、ハイテク産業が民主党の支持基盤であることを示している。

バイデン(民主党)とトランプ(共和党)の政治資金はバイデンの方が大口の寄付が多く金額は9億5000万ドルであったのに対し、トランプの側は草の根の小口の寄付が多く、金額は6億ドルであったことを見ても、現在の共和党が白人貧困層の党となっていることが分かるのである。

トランプの登場はグローバル・リズムの逆流現象であり、トランプは世界の戦場から米軍の撤兵を進めた。それゆえ米産軍複合体と金融資本は、今回の選挙で巻き返しを図ったということであり、アメリカ社会は引き続き分断と対立を解消できていないのである。

トランプがコロナ対策で失敗したこと、民主党の郵便投票を軽視したこと、若年層、女性層、非白人層、高学歴層など広い層を民主党の基盤とすることを許したことに敗因がある。つまり共和党は統一戦線的発想がなく、自ら支持層を狭めてしまった点に敗北の原因がある。

共和党は敗北したが、議会はねじれているので、バイデンの政策も制約がある。アメリカだけではないがグローバリズムは極端な格差社会を生み、経済発展から取り残された広範な層を生んだ。アメリカも欧州のように貧困層のための福祉政策を必要とする時代になったということである。

共和党が白人層の貧者の党になった以上、当分の間民主党政権が続くと見なければならない。かってのアメリカは共和党は金持ちの党、産軍複合体と金融資本の党であった。変われば変わるものであり、これは、トランプというグローバリズムの逆流現象の候補を立てた結果なのである。

トランプ政権の覇権放棄の4年間で、世界は中国の元圏、拡大EUのユーロ圏と世界経済はブロック化の傾向を強めた。アメリカの覇権を回復するのは簡単ではない。しかも新型コロナ渦の中で世界的な規模の経済危機が待ち構えている。世界情勢は1930年代の経済危機と戦争の時代に極めて酷似してきていることを見て取らねばならない。

新興の帝国主義(=中国社会ファシスト)と、古い帝国主義(アメリカ)の対立は、独裁国家と民主主義国家の対立であり、アメリカは日本という同盟国家を離さなければ優位に覇権争いを展開できる立ち位置にある。つまり世界経済3位の、日本の存在が戦略的価値を高めていることを政権与党は今後の外交戦略にあたり考慮すべきであろう。つまり対米自立の好機が来ているのである。
自立した日本に、アメリカも反対できない情勢が生まれていることを知るべきだ。
#グローバリズムの逆流
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コメント

なぜトランプが負けたか分かった

 なるほどトランプは白人貧困層の不満を代表していたのか。
 コロナにかかったのがまずかった。あれで女性票が離れた。
 女性は家族の健康が心配だったのに、コロナ対策をほとんどとらなかったのがまずかった。
 アメリカの再建は難しいが、ドルの力はまだ元やユーロと比べ一番だ。

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