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バイデンはアメリカを一つにできるか?

アメリカの大統領選は、バイデン(民主党)に当選確実が出た。バイデンは演説で「今こそ国民として一つにまとまり、傷をいやす時だ」と「分断ではなく団結を」呼びかけた。しかしトランプ大統領は敗北を認めておらず、「選挙の不正」を指摘して徹底抗戦を貫いている。

アメリカ国民の分断は、トランプ大統領が作り出したものではない。ソ連崩壊後のグローバルリズムの流れの中での「強欲の資本主義」が、階級分化と階級矛盾を激化させるとともに、アメリカ経済の重化学工業中心から、IT産業、金融資本中心の構造変化の移行の中で、国民の分断・対立が起きたのである。

トランプは斜陽産業の錆びたベルト地帯とアメリカ農民を支持基盤としで登場した。いわば「強欲の資本主義」の揺り戻し現象であった。IT産業や金融資本や軍需産業のバイデンとは違う。したがってバイデンが選挙で勝利しても国内の対立と分断は何も解決していないのである。

バイデンが金持ちに大増税し、富の再分配が実行できるのか?錆びたベルト地帯とアメリカ農民と落ちぶれた中産階級のための福祉重視の政治ができるのか?という問題である。議会の主導権が共和党にある中で、バイデンが福祉重視=階級間の融和の政治ができるとも思えない。できるとすれば欺瞞的な階級融和策になるであろう。それゆえに民主党支持者が今度は幻滅し、アメリカにおける分断と対立は簡単には解決できないと見ておいた方がいい。

たしかなことは、アメリカは当分の間、内政重視で行くことだ。内政を重視すれば、それは経済重視であり、中国との協調は欠かせない、中国との相互依存関係を維持しながら先端産業での「切り離し政策」(デカップリング)は部分的に維持していく可能性が強い。中国の海洋進出に対し、バイデンがどのような戦略を打ち出すのか注目したい。トランプは戦略なき覇権放棄が「戦略」だったので、バイデンはとりあえず同盟関係の再構築が外交課題となるであろう。
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