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中国への「関与政策」から転換したアメリカ!

ポンぺオ米国務長官は7月23日、カリフォルニア州にあるニクソン元大統領記念館で講演し、ニクソン氏以来の対中国政策を失敗と位置づけ、中国の発展を後押しし、民主化を促す「関与政策」を抜本的に転換する考えを示した。1972年の米中国交樹立以来の「関与政策」が中国に変化をもたらさず、むしろ国際社会を脅かす存在になったとして対中政策を転換することを強調したのである。

これは日本の尖閣諸島への公船による侵犯行為や台湾への軍事力による統一の表明や、フィリピンやベトナムの南シナ海の島の軍事占拠、インド領への軍事侵略などの習近平国家主席の進める社会帝国主義の政策を指して、ポンぺオ米国務長官は習近平主席を「全体主義の本物の信奉者だ」と批判し、対決姿勢を鮮明にした。

ただし米ソの冷戦時のように双方の支配地域が分かれていないこと、経済的な相互依存の中では、ハイテク技術分野などで中国を排除する「デカップリング(切り離し)」と呼ばれる方針を念頭に「民主主義国家による新たな同盟」を構築し対抗することを呼びかけたものである。

ポンぺオ米国務長官は、中国による知的財産権の侵害や、南シナ海への進出問題など拡張主義的行動を列挙し、またヒューストンの中国総領事館の閉鎖について「スパイ活動や知的財産を盗み出すための拠点だったからだ。」と語った。中国外交部は24日これに対抗して中国四川省にあるアメリカ総領事館の設立運営許可の取り消しを発表し、72時間以内の閉鎖をアメリカに要求した。

ニクソンの中国に対する「関与政策」は、旧ソ連が社会帝国主義に変質し、拡張主義政策を推し進めたのに対抗するためであり、当時は正しかった。しかし旧ソ連が解体し、現在では中国社会帝国主義が世界の主要な戦争勢力となった以上「関与政策」からの転換はむしろ遅いぐらいであった。

旧社会主義国が官僚独裁国家に変質し、全体主義的な拡張主義侵略勢力になるというのは、アフガンを侵略した旧ソ連や現在の中国の例を見ると法則のように見える。つまり旧社会主義国は名目的には社会主義だが、実際は国家資本主義であるために、人民の民主化運動を極端に怖れる。それゆえ官僚独裁にならざるを得ない。つまりロシアや中国のような旧社会主義国は普通の資本主義国家にはなりえないのである。

アメリカは中国の先端産業分野に打撃を与えることで覇権を維持しようとしているように見える。しかしトランプ政権の「アメリカ第一主義」では「民主主義国家による新たな同盟」を構築することは非常に難しいというしかない。トランプ外交がアメリカの覇権に打撃を与えていることを指摘しなければならない。つまりアメリカが関与政策からの転換を本当に成し遂げるには「アメリカ第一主義」をも捨てなければ、新たな同盟関係構築は難しいのである。
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