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習近平降ろしに挑む李克強の揺さぶり!

月刊誌「選択」7月号は、アメリカの対中制裁で中国共産党指導部が割れ始めたことを報じている。「習近平降ろしに挑む李克強」という「選択」の記事が示しているのは、「中華民族の夢」の実現を掲げ、果敢にアメリカの覇権に挑む、習近平の内政が、実際には危機に瀕していることを示している。「選択」7月号の記事のあらましを紹介する。

同誌は6月10日ごろ李克強首相が「辞表を提出し慰留された」ことを紹介し、これは李氏が辞めたいのではなく「むしろもっと権限が欲しい」というアピールだったという。その後、李克強首相は習近平に3本の矢を立て続けに放ったという。

(第一の矢)李氏は先の全人代閉幕式の記者会見で「中国には月1000元(1万5000円)以下の人が6億人いる。地方都市では家を借りることすらできない」と発言し大きな波紋を呼んだ。習近平は「小康社会の全面実現という目標はほぼ達成された。」と言っているのが嘘である事を暴露したのである。党中央は慌ててこれを否定した。

(第2の矢)李氏は視察先で「庶民の暮らしに密着する露天商は多くの雇用を作り出すことができる、中国経済の活力だ」と発言した。習近平は「都市のイメージを損なう」として機関紙で「露天商の野蛮な成長をさせてはならない」と反論した。

(第3の矢)李氏は国務院常務会議で「外資系企業・工場の従業員約2億人の雇用を守り、国際市場と同時に国内市場における販路拡大を支援する」と語った。この時の配布資料で中国の総労働人口は約7億7500万人で、そのうち4分の1を超える約2億人が外資系・工場で働いていることを明らかにした。この数字はこれまで発表されたことがなかった数字なのである。

経済に明るい李克強首相は、米中貿易戦争激化で400を超えるアメリカ企業が中国からの撤退を発表したことに危機意識を持ち、アメリカとの貿易戦争を続ける習近平とその側近の劉鶴副首相への不満を表明したと受け止められている。

中国の長老たちは、アメリカに巨額の資産を保持しており、もし習近平の対米貿易戦争路線がアメリカの資産凍結を招くことを怖れている。つまり長老たちは団派の幹部である李克強と連携し「内政も外交もうまくいかず、政敵を排除する以外、まったく能力のない習氏を続投させることは、米国に巨額の資産を持つ江沢民ら党長老にとって、悪夢でしかない。」(選択記事)というのである。

7人の党政治局常務委員のうち習近平支持は一人しかおらず。習近平は少数派なのである。習近平の任期は2022年まであり、李克強が党長老を味方につけて習近平の続投を阻止できるかが注目点である。米中貿易戦争は中国経済に外資の撤退という深刻な事態を招きつつあり、そうなると約2億人の労働者が失業する。その深刻さを理解しない習近平はアメリカに一歩も引かず報復合戦を繰り返している。中国経済の直面する危機の深刻さが、指導部の対立と、中国の「群狼外交」と呼ばれる周辺国への敵対的外交となって表れているとみてよい。
#中国指導部の分裂 #習近平降ろし #群狼外交 #外資の撤退
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