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コロナ後の世界覇権の行方について!

イギリスからアメリカへの覇権の移行は1956年のスエズ危機だといわれている。コロナ感染症は、その世界のリーダーを変える可能性を秘めている。覇権を握るアメリカがコロナ危機を乗り越えるうえで国内外でリーダーシップを全く発揮できていないこと、それと比較して中国がコロナ危機を最大限自己の覇権確立に利用していることが、そうした覇権移行の見方を強めている。

習近平主席は今年2月末、党最高会議で、コロナ問題で「中国は責任ある大国の役割を果たす」と宣言した。それ以後習は約60か国のトップと電話会談し経済・医療支援を申し出て、コロナ封じ込めの成功談を振りまき、自国の独裁的政治体制の優位性を振りまいた。中国は各国に検査キッド、マスク、防護服を送り、同時にコロナ危機を克服するうえで独裁体制下の権威主義的やり方が、欧米主導の民主主義体制よりも優位であることを強調した。

トランプ大統領の、世界の警察官を止めて「アメリカ第一主義」をやる、いわゆる内向きの外交が、中国の戦略的野心に好機を与えているといえる。もちろんすぐに覇権が中国に移行するのではない、移行期には必ず2極が並び立つ時期がある。つまり世界は過渡的な米中の2極支配の時期へ移行し始めていると見るべきである。

習近平は、コンテ・イタリア首相との電話会談で「中国は疫病攻撃の国際協力のための<健康シルクロード構築>に貢献したい。両国の全方位協力は前途に満ちている」と自信満々に語ったという。アメリカが世界のリーダーとしてコロナ感染症で主導的な役割を全く発揮できない中で、中国の野心的戦略外交が成果を上げているように見える。

こうした中で中国のマスク外交に唯一対抗できるのが日本だ。感染者数も死者数も世界の主要国と比べて桁違いに少ないし、安倍政権が抗ウイルス薬のアビガンを世界に無償で供与することを発表したのはよかったが、官房長官の記者会見での発表だったのがまずかった。安倍首相自身が、日本外国特派員協会で語るべきであった。

米中二極体制への移行が明らかな中で、中国が習近平の国賓訪日で、日本に接近しつつあるのは、米日の同盟関係から、日本を中立の立場に立たせようと戦略的に考えていると見るべきである。最近アメリカで、日米同盟の重要性が強調され始めたのは、コロナ後の新たな2極体制をにらんでの事である。

つまり、このことが示しているのは、1920年代の大恐慌後の地政学的紛争の中心はヨーロッパであったが、コロナ後の紛争の中心は東アジアであることでだ。米中が日本を抱き込もうとしていることを見て取らねばならない。中国がコロナ対策で独裁国家の優位性を強調しているので、コロナ後の新たな2極体制は、独裁国家の陣営と民主主義国家の陣営の対立となる可能性が強い。

戦略外交を放棄したアメリカ政府に代わり、日本は中国のマスク外交に対抗し、医療機器や抗ウイルス薬でロシアやイランに接近・支援して、中国から引き離す外交が求められている。欧米のクリミア半島の問題でのロシアへの経済制裁は、ロシアを中国の側に追いやる愚策であり、またイランへのアメリカの制裁も、イランを中国側に追いやる愚策である。わざわざ中国の陣営を強化するのではなく、中国を外交的に孤立させることを今は追及するべきである。

トランプのアメリカ外交は、アメリカ国家の主要な矛盾を優先するのではなく、目先で外交を行っている。超大国の外交は選挙対策と混同するべきではないのだ。アメリカの外交的無策が中国の戦略的時間稼ぎに手を貸していることを見て取らねばならない。
#覇権の移行期 #トランプの内向き外交 #米中2極体制 #中国の戦略的野心
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コメント

なーるほど

 「移行期には必ず2極が並び立つ時期がある。つまり世界は過渡的な米中の2極支配の時期へ移行し始めていると見るべき」つまり、今は2極体制に移行しつつあるのですね。

中国の野心を警戒!

 コロナ外交で中国は得点を稼いでいます。自分がコロナウイルスを世界中に振りまいたのに反省もしていません。あきれます。

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