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コロナ感染症が世界の戦略構造を変えるか?

中国は天安門事件で強力な国家権力を世界に見せつけることで、「世界の工場」になることに成功した。そのことがアメリカの覇権への挑戦と受け止められトランプ大統領の中米貿易戦争となった。中国に生産を依存していた主要各国は中米の関税戦争に震え上がった。すでに中米の交渉の第一段階は妥協が成立した矢先の今回のコロナショックである。

中国は漢方薬の国である。珍しい獣ほど薬効・滋養があると考えるお国柄だ。コウモリから毒蛇、毒サソリ、ネズミ、ラクダ、など四つ足なら机以外は何でも食べるのが中国だ。今回の党中央の指示で約800ほどある獣市場の閉鎖が行われたが、なんせ「党中央に政策があれば、我々には対策がある」と考えるお国柄だ。すぐに獣市場が再開することは確実だ。

世界の工場中国が新型ウイルスの発生源として、数年ごとにこうした感染症が生起することが避けられないことが明らかになった。中国での部品の大量生産でコスト削減を図ってきた世界の主要企業は、その生産方法を見直すほかない。大規模集中生産がいかにリスクが大きいかを今回のコロナショックは教えているのである。今後は、小規模分散生産へと舵を切る企業が増大することは避けられない。

実際に自動車産業のように中国からの部品が入らずに、国内の組み立て生産がストップする工場が少なくなかったのである。リスクの回避を考えて国内生産に回帰する企業が増える可能性がある。あるいは中国一国から部品の生産を、複数の国で分散生産することもありうるであろう。世界の工場としての中国は反転の時を迎えたといえる。

こう見てくると中国の、世界戦略すなわち「一対一路」「中国製造2025」で世界経済の中心的地位を固める経済戦略は破綻する可能性が大きい。日本の中国を生産拠点とする経済戦略も、自国生産もしくは「小規模分散生産」へと舵を切ることになる。世界の先進国でこうしたことが起きれば、国際経済構造を大きく変えることになるであろう。

こうした経済構造の変化が世界のブロック化を促す可能性もある。グローバル経済が、ドル圏、ユーロ圏、元圏などへ分散する可能性を見なければならない。つまり今回のコロナショックが、貿易戦争激化もあって、ブローバル経済をブロック化へと分散・変化させる可能性を見ておかねばならない。

経済構造のこうした変化が、世界の戦略関係を構造的に変える可能性を指摘しなければならない。したがって世界の軍事バランスも変化することが避けられないであろう。アメリカが同盟国の力を利用する戦略に転換すればアメリカの一極支配が復活するかもしれないが、今のところトランプ大統領は「アメリカ第一」主義だ。

すると世界は多極化を一層深めることになるのかもしれない。もちろんアメリカの大統領選挙がどうなるかも影響するが、国際情勢の流動化、多極化は避けられないように見える。中国経済の衰退が中国・ロシア・イランの独裁国家連合の紐帯を強める可能性もある。世界の経済構造が変われば戦略関係も変化せざるを得ないのである。

日本は対米自立し、自分の国は自分の力で防衛できるようにしておかねばならず。いつまでもアメリカ依存の防衛はあり得ない。アメリカが自国第一主義に転じた現実を見据えて、民族の安全保障戦略を構築しなければならない時である。安倍政権の対米従属路線は「賞味期限」が過ぎたことを指摘しなければならない。
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