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NATO首脳会議内の矛盾の露呈について!

イギリスのロンドンで開かれたNATO首脳会議内は、各国がアメリカの軍事予算2%への増額に取り組み始めたことで表面的にはアメリカの指導権が回復したかに見える。しかしNATO内の矛盾が表面化した首脳会議となった。

特にドイツは軍事予算2%を達成せず、ロシアから海底パイプラインで天然ガスを購入するなど、ロシアとの関係を強めている。フランスのマクロン大統領はNATOを「脳死状態」と批判し、「ロシアを敵とみなしていない」と語った。明らかにドイツとフランスはロシア市場に魅力を感じており、独自の欧州軍創設を進めている。

アメリカは、ロシアのクリミア併合や中距離核戦力全廃条約の失効などでロシアとの対決姿勢を強化し、欧州のロシア接近を阻止しようとしている。しかしこのアメリカのスタンスは、ロシアを中国に接近させ、結果日本の防衛を危うくさせていることを指摘しなければならない。

アメリカはNATOを対ロシア、対中国、対イランへの備えと位置付けているが、フランスやドイツはNATOよりも欧州軍の方に重点を置いているように見える。明らかに今年のNATO首脳会議には多極化しつつある世界情勢の特徴が反映して矛盾が露呈した。トランプの同盟国への関税戦争がアメリカの覇権を崩し始めたように見える。

ロシアのプーチン大統領は12月3日、NATO首脳会議について「紋切り型の(安全保障の)ブロックという考え方は、急激に変化している現代世界で問題解決の手段になりえない」との認識を示し、「ロシアにとってNATOの拡大は安保上の潜在的脅威の一つだ」と語った。その上でプーチ氏は「もはやソ連も、ワルシャワ条約機構も存在しない」こと、ロシアは「国際テロや地域紛争、対量破壊兵器の不拡散といった問題ではNATOと協調して対処する準備があると」とした。

こうした動きを見るとEUの中心のドイツやフランスはロシアの取り込みを展望しており、アメリカは欧州とロシアの分断を続けたいと考えていることが見て取れる。トランプの「アメリカ第一主義」が欧州のロシア接近、日本の中国接近を促し、世界はますます多極化しつつある。

アメリカは自国の経済的利益を優先し、同盟関係をズタズタにする「取引」外交をやめないと、中国やロシアに戦略的利益を与えることになるであろう。日本政府はロシアと中国の関係にクザビを打ち込む外交が喫緊の課題となっていることを指摘しなければならない。ドイツのようにロシアから天然ガスを買うことで、ロシアを支払い能力ある市場として、経済的な相互依存の関係を築く必要がある。中国とロシアの軍事同盟を阻止しなければ、日本はニ正面に敵を持つことになるであろう。

「同盟国を守りたくない」と語るトランプのアメリカを、いつまでも頼りにできないことを知らねばならない。対米自立の時が来ているのである。
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