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アメリカの覇権の延命はなるのか?

資本主義の不均等な発展が、アメリカ経済の相対的な衰退を招いた。トランプ政権は経済人としての感覚で、アメリカの貿易赤字の削減に努力し、シリアやアフガンからの撤兵を進めた。トランプなりにアメリカ経済を立て直す(「強いアメリカの」)政策が、結果として戦略的空白を作り、中国やロシアやイランが地域覇権主義へと野心を膨らませている。しかしこれら3国は経済力・軍事力でアメリカには遠く及ばない。

したがってトランプが「隠れ多極主義者」であるわけではないのだ。トランプが中国企業のファーウエイの5G戦略を挫折させようと市場から締め出したのは、アメリカの経済覇権を維持するためである。アメリカの相対的な経済的衰退は、資本主義の不均等な発展のなせる業であり、トランプ大統領が多極主義者等であるからではないのである。アメリカ経済の衰退はグローバル化の戦略の結果、必然的に起きたことであって、政治家の政治意思に基づくものではないことを知らねばならない。

冷戦崩壊後のアメリカのグローバルリズムは、拡大した世界市場におけるアメリカの一極支配を生みだした。アメリカは世界通貨であるドル発行益を独占し、紙切れであるドルで商品を買い、貿易黒字国に米国債を売り付け、対価なく貿易黒字国を搾取した。アメリカの金融資本はぼろ儲けしたのである。しかし、金持ちと多国籍企業が税金を払わないでいいタックスヘイブンへ、莫大な金融資産(=有休貨幣)を隠し、結果富の再分配を阻止し、格差社会を極限まで拡大した。わずか1%の人が世界の富の半部以上を所有するまで世界の独占化が進んだ。

アメリカ社会は金融資本の支配に反発し、「さび付いたベルト地帯」の産業資本家と労働者達は貿易赤字の削減を掲げるトランプを支持した。このトランプの登場は言わば予期せぬハプニングであり、一時的な歴史の逆流現象と見るべきだ。依然としてアメリカは産軍複合体の大国であり、未だ世界の覇権を握っている。

トランプ大統領は日本や韓国などの同盟国に「安保ただ乗り論」で、米軍駐留費用の5倍化を要求し、アメリカの同盟国は、アメリカに依存することをちゅうちょし、あるいはロシア・中国陣営への接近でアメリカの圧力をかわそうとし始めた。ドイツがロシアから天然ガスのパイプラインを引き、トルコがロシアから対空ミサイルシステムを購入したり、韓国がGSOMIA破棄に動いたり、日本が対中国との関係改善を進めたように、アメリカを外交で揺さぶる動きが激化し始めた。これは経済の相対的衰退で同盟国へのたかり・ゆすりを強化したアメリカ外交をけん制する動きであり、これを「多重型覇権体制」等と称するのは時期尚早である。

アメリカと貿易交渉や防衛費負担で不満を高めている主要国は、アメリカの強引な圧力をかわすために外交的揺さぶりを行っているのであり、それはグローバル化で相互依存を強めた中での覇権国の横暴へのけん制・抵抗の枠を出るものではない。中国も同様でアメリカ市場に依存している以上妥協せざるを得ないが、国内情勢が妥協を許さない為に貿易交渉が難航しているのである。

安倍政権が中国との関係を強めているのも、アメリカの圧力でアメリカ市場への依存を減少しなければならない中で、中国市場を失う訳にいかないのである。それは同様に中国にも言えることで、中国が最近日本に、歴史問題を出さなくなっただけでなく、国交正常以来の日本の莫大な経済援助を国民に公開して、中国国民の反日感情を改善し始めたことは、対米市場への輸出が減少する事態の中で、中国は日本との経済関係を重視し、関係改善するほかないとの戦略的判断がある。

しかしアメリカの独善的な覇権維持の圧力や援助停止や、米軍の撤退や、駐留経費負担増が、戦略的空白を生み、中国覇権主義と制裁下のロシアの軍事同盟関係への動きを促していることは、多極化への重大な動きであり、これをアメリカが阻止するのか、それとも促すのか?注目しなければならない戦略点である。
#資本主義の不均等な発展 #多極主義 #戦略的空白 #多重型覇権体制 #中ロ軍事同盟
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