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韜光養晦路線捨てた習近平の誤りが招いた貿易戦争!

中国共産党の走資派の頭目であった鄧小平は、「中国の特色ある社会主義」の名で資本主義化を進めた。そのスローガンが「韜光養晦」であった。その意味は「才能を隠して内に力を蓄える」という中国の外交・安全保障の基本方針である。

ところが習近平主席は「中国の夢」を掲げて「一帯一路」戦略で、アメリカの覇権に挑戦する野心を表明した。中国の「産業2025」計画は高度技術でアメリカを追い越す野心的産業・技術戦略であったが、これがアメリカを眠りから覚ませた。

トランプのしかけた貿易戦争は共和・民主が合意した覇権戦略であり、中国が覇権戦略を放棄するまで闘うことになる。昨年末の中国共産党政治局会議で、ある幹部(李克強首相か?)が机を叩きながら習近平を激しく批判したという。それは鄧小平の「韜光養晦」路線を捨てたことで、アメリカの戦略的反撃を招いた誤りへの批判であった。

つまり現在の中国指導部は再び韜光養晦路線に回帰している。それゆえ中国企業がアメリカの関税を回避するために大挙してベトナムに工場を移転することを黙認しているのである。中国共産党の幹部達が毛沢東の「持久戦論」を学習しているのは、アメリカとの覇権争いで勝つための力を蓄える戦略への回帰のためであることを理解しなければならない。

中国は89年の天安門事件で、力で大衆闘争を押さえこむことで、外国企業の資産保護の決意を示し、そのことで外国企業の臨海部への工場建設が急速に進むことになった。つまり天安門事件は内外に資本活動を保護する決意を示す号砲であり、それが「改革開放」路線なのである。鄧小平の「韜光養晦」は中華思想に基づく覇権戦略の力を蓄えるための「秘めた戦略」であった。

アジア諸国への工場の移転は、中国国内の産業の空洞化をもたらすが、走資派指導部は増える失業者は農村に回帰させることで吸収し、反抗には武力で鎮圧できると考えているのである。さらには李克強首相はトランプが選挙対策のために貿易交渉で妥協する、と考えている節がある。外交での中国の表面上の強硬な態度は、内の柔軟性を発揮するためと理解すべきである。

香港における200万人の大衆闘争は、中国政府には国内への情報封鎖以外に手の打ちようがない。台湾の統一を考えるなら「一国2制度」は維持しなければならないが、それを維持しようとすると国内の民主化運動に火がつく可能性がある。中国の走資派指導部が一番恐れていることは、天安門事件のような「文革」=大衆運動に火がつくことなのだ。

今のところ中国の指導者たちは覇権戦略を放棄せず、アメリカの出方を見ているが、トランプの間で妥協が成立すれば覇権政略を一時放棄することもありえるであろう。なんせ中国には、今は「才能を隠して内に力を蓄える」時間が必要なのである。
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